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【テニプリ】ヒカリノサキ

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たかがテニス、されどテニス。その道を自分は選ぶことが出来なかった。ぐしゃりと前髪を掻いて、跡部はブランデーを煽った。







 翌日…。


 幸いなことに今日は土曜日で会社は休み。手塚につられて飲みすぎたのかガンガン頭が痛むが、ベッドから出れずにゴロゴロしていると、ノックもなしに寝室のドアが開いた。
「起きろ!、跡部」
ばさりとブランケットを剥がされ、跡部は眉間に皺を刻んだ。
「…うるせー。まぶしい…」
カーテンを引かれ、射し込む太陽の光が眩しい。そして、頭がガンガンする。
「早く。朝飯を食え。味噌汁が冷める」
「…あぁ?」
味噌なんて家にあっただろうか?…自分よりも明らかに飲んでいた手塚は朝っぱらから、元気がいい。時計を見やると、8時を少し回ったところだ。
「…味噌、なんて家にあったか?」
「買ってきた。…お前の家の冷蔵庫には酒と水しか入ってないのか?少しは躰に気を使え」
24時間営業のスーパーがそう言えば近った…と跡部は思い出すが、一度も足を運んだことがない。食事は外食中心。朝は紅茶を一杯。…学生の頃に比べれば食生活のレベルは格段に落ちたが、時間があれば自分でも料理はする。最近は忙しく、生物は腐らせるからと冷蔵庫は空になっていた。
「ほら、早く起きろ」
手塚に急かされ、跡部は痛む頭を押さえながら、未練の残るベッドを後にした。







 実家では滅多に目にすることがないメニューが二人掛けのテーブルに並んでいる。一応、一人暮らしを始めたがいいが、日常に必要なものを揃えるのは全てを家人に任せた。その家人が揃えた食器には茶碗やお椀、箸といったものも一通りあったらしい。跡部はテーブルに着いた。そして、目を見開き固まった。

「…有り得ねぇ…」

ウェジウッドのボーンチャイナ、乳白色が美しい茶器に注がれて出されたのは緑茶…跡部は頭を抱えたくなった。
「湯飲みと急須が見つからなかったんだ」
手塚はそう言うと向かい合った席に着く。
(…まさか、これで紅茶以外の飲み物を飲むことになるなんて、思いもしなかったぜ…)
華奢な取っ手を掴み、跡部は小さな溜息を吐いた。








 腹が満ちた所為か、幾分、頭痛が和らいだ気がする。跡部は改めて、紅茶を入れ、息を吐く。朝はやはり、ミルクティーに限る。
「…なかなか、紅茶も美味いな」