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【テニプリ】ヒカリノサキ

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「当たり前だ。俺様の淹れた茶が不味いはずないだろ」
アッサムを牛乳で煮出したロイヤルミルクティー。紅茶好きの間では、紅茶が先か、ミルクが先か度々理論になったりもするが、これが一番だと跡部は思っている。
「…部屋だが、昼から行こうぜ。外で飯を食ってからでいいよな?」
「あぁ。構わない」
既に着替えた手塚とは違い、未だに跡部はパジャマ姿でセットのされていない髪はいいように跳ねている。普段から想像もつかないだらしない姿だったが、手塚とは付き合いも長いこともあってか気を使うこともない。
(…気が抜ける場所って言うか、一緒にいて苦にならない奴も今までなかったしな)
実家は始終人に囲まれ、向けられる期待と重圧から、どこか自分を作っていた気がする。学校でもそれは一緒で。部活だけはそれなりにはいられたが、やはり期待と重責は変わらなかった。…それが、当たり前で苦にはならなかったが、こうやって一人気ままな生活を始めてみて、ようやく気が抜けたと言うか、一人だけの時間が持てたような気がする。
「跡部、これ借りるぞ」
「あぁ」
ソファーに転がった跡部に一言断り、手塚は洋書のページを捲る。それを横目に見やり、跡部は欠伸をすると目を閉じた。








「…腹、減ったな…」

空腹に目を開け、壁の時計を見やれば、正午を幾分か回っていた。体を起こせばブランケットが滑り落ちる。手塚が掛けてくれたらしい。その手塚はページを捲る指を止め、顔を上げた。
「…もう、昼か」
眼鏡の下、瞬いた手塚がぽつりと言葉を漏らして、本を閉じた。
「取り敢えず、シャワー浴びてくるぜ」
「あぁ。そうしろ」
ぼさぼさになった頭を掻きながらバスルームに向かう跡部を見送り、手塚は頷くと、落ちたブランケットを畳み、小さな溜息を吐く。
(…リョーマ…)
一瞬、跡部をリョーマに重ねてしまった自分に手塚は眉を寄せた。
(…思い出さないようにしてたんだが…)
夕べ、久方ぶりに口にしたアルコールの所為で、抑圧していた感情の箍が弛んだ。…リョーマとの関係を知っているのは中学からの付き合いの不二に乾、そして、跡部だけだった。
(…思えば、跡部との付き合いはリョーマよりも長かったな…)