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【テニプリ】ヒカリノサキ

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夕陽の赤を浴びた手塚は神々しいまでに美しかった。今でも、鮮明に目蓋の裏に残る。手塚の見下ろす視線には憐憫や嘲りはなく、静かで澄んで、自分をただ真っ直ぐに見つめていた。

『お前は青学の柱になれ!』

手塚はどんな想いでその言葉を自分に言ったのだろう。…その言葉の本当の意味に気づかないまま、自分はその言葉の意味を違えてしまったのだろうか?



リョーマの中で音を立てて、何かが崩れていく。

(…どうしたらいいのか…解らないよ…部長…)

壁にぶつかっても乗り越えて来れたのは、自分の進む、目指すものの先に、指標のように手塚がいたからだ。その手塚は自分の前から去ってしまった。

 深い深い闇の中…。

光のさきは遠く、抜け出すことも出来ずに、リョーマは置いてきぼりにされた子どものように奈落の底…光のない闇の中に立ち尽くしていた。













昼食を跡部行き着けの洋食店で済ませ、以前、跡部が住んでいたマンションに向かう。助手席に座った手塚はぼうっと外の流れる景色を眺めている。それを横目で見やり、跡部はハンドルを切った。

「ここだ」

地下の駐車場に車を止め、オートロックを解除してエレベーターで最上階に向かう。マンションは12階建て。12階に部屋は一つしかない。キーを取り出した。
「ま、入れよ」
昨日の内に部屋にはハウスキーパーを入れてある。
「…あぁ」
一人暮らしに部屋は4室と多い。対面式のダイニングキッチン、広いリビングには既に大型の液晶テレビが備え付けられている。収納も充実している。周辺の利便性もいい。駅が近く、近くにはコンビニ、スーパー、本屋にジムと揃っていれば文句はない。

「ここでいい」

あっさりと手塚は跡部が勧めた部屋を見て、頷いた。一人暮らしにはかなり広すぎる間取りだったが、跡部の提示してきた額は驚くほど格安で採算が採れるのかと心配したが、幼馴染みのよしみに甘えることにした。
「…今日からでも住めるぜ。でもまあ、その前によ…」
「…何だ?」
部屋を一通り見終え、ベランダから町を見渡していた手塚はどかりとソファに腰を下ろし、携帯を閉じた跡部を見やった。
「…越前、格下相手に惨敗したとよ」