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【テニプリ】ヒカリノサキ

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「どうする?やるか?嫌なら、逃げてもいいんだぜ?」

「…やる」

今まで言葉を一言も発せず黙り込んでいたリョーマがはっきりとそう言い、足元を見ていた視線を上げ、跡部を真っ直ぐに見つめた。
(…このままじゃ、駄目だって解ってる…)
心の奥に蟠るもやもやを払拭出来るきっかけを自分はずっと探していたのかもしれない。真っ暗だった視界に俄かに差し込む光…。
(…テニスをやめることになっても、…あなたに会えなくなっても、それは全部、オレの所為だから…)
グリップを握りなおしたリョーマに跡部は笑みを浮かべ、バックへと下がる。次のサービスはリョーマからだ。

「…ッ!」

ガットに走る衝撃。躰が思い出すように動く。切れのあるサーブが跡部の顔面を狙って跳ね上がる。それを瞬時に腰を落として、打ち返す。

「オラっ」

負けるつもりはない。自分にとって、これはあの日の再現だ。










 日が沈む。息を吐いて、跡部は顎先滴る汗を拭った。

「…チッ」

コートの隅に転がるボールを一瞥し、跡部は視線をリョーマへと向けた。

「…跡部さん、何でプロにならなかったの…?」

唐突に発せられた言葉に跡部は眉を寄せた。
「アーン?」
今頃、そんな話がリョーマから出るとは思わなかった。跡部は対峙するリョーマを見やった。
「俺がプロにならなかったのはな、俺がプロになったらお前らの存在が俺様の美技の前に霞むからだ」
淡々と跡部はそう言い、ぽかんと口を開けたリョーマを見やり、口端を上げた。
「…ってぇのは、冗談だ」
「…なっ?!」
憮然とするリョーマはいつものリョーマで、それに跡部は笑みを返すと夕焼けに赤く染まった空を見上げた。
「テニスで頂点に立つのは俺の夢じゃなかったからな」
「…じゃあ、何で…」
「…俺がテニスやってたのは、テニスが面白かったからだ。…越前、お前もそうじゃねぇのかよ?でも、…それもいつの間にか、相手を絶望的なまでに追い詰め叩きのめす手段になっちまったがな」