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【テニプリ】ヒカリノサキ

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リョーマはお疲れ様と微笑って、次のステージに立つ自分を祝福してくれるだろうと思ってた。それが、ようやく夢だったのだと気づかされて、手塚は呆然とリョーマを見やる。
「…オレはまだ、アンタを越えてない。…アンタを目標にここまで来たのに…なのに、アンタがいなくなるなんて、…オレ、どうしたら…」
その言葉に手塚は息が詰まる。
(…何を言ってるんだ…?)
フラッシュバックのようにあの日の光景が手塚の中を過ぎる。



…高架下…人気のないコート…転がり落ちるライムイエローのボール…小さな少年が視線を上げる…帽子の下…射るような視線…交わる…。





『越前、』




頭上を走り抜ける轟音の中、そこにあったのは水を打ったような静寂。



『お前は青学の柱になれ!』




彼の父親…越前南次郎のコピーにしか過ぎないリョーマに世界は広いのだと、…世界にはもっと、父親より、俺よりも強い奴が世界には沢山いるのだと。

リョーマの為に左腕を掛けた試合。

それでもし壊れてしまって二度とラケットを握ることが出来なくなってもいいと思う程に、リョーマという無限の可能性に光の先を見たいと思った。…それが、リョーマの言葉で霧散していく。
(…俺は…間違えたのか…?)
それとも、言葉の真意はリョーマには伝わらなかったのか…?見上げてきたリョーマの射るような強い視線にあったのは、強くなりたいという意志。その視線に光の先を見た。…それはまやかしだったのだろうか…?…どこかで何かを間違えてしまったのだろうか?…だとしたら、俺は……。

「…アンタのいない世界に興味はない。…テニスを続ける意味も価値もない。…オレも引退する」

…いつから、リョーマの中で世界がすり替わってしまったのだろう?リョーマは変わったと思っていた。でも、違ったのだ。倒したい相手が彼の父親「越前南次郎」から「手塚国光」に擦り替わっただけだったとしたら…俺のしたことは一体何だったと言うのか…?

光が閉ざされ目の前が真っ暗になっていく。…自分にもリョーマにも…すべてのものに失望していくのを感じた。それを認めてしまえば、自分の足元が崩れ落ちていく。あの最高の瞬間さえ失われてしまう。認めるわけには行かなかった。…否、認めたくなかった。

「…っ、不戯けるな!」

気が付くと、振り上げていた左手。