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友達ごっこ (静雄の言い分)

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俺は臨也がぐったりと動かなくなるまで散々臨也を殴った。とうとう何の反応も示さなくなったので,髪を掴んで頬を三発張り倒すと,臨也はうっすらと目を開けた。

「なに」

俺はゆっくりと自分の怒りが引いていくのを感じた。

「おい,新羅んとこ行くぞ」

臨也は目を見開き,アハハハハハハハ,と大声で笑った。

「・・君は、とにかく人を殴ったり蹴ったり暴力沙汰が大好きでどうしようもない、どうにもならない化け物だ。君みたいな馬鹿は、暴力の世界でしか生きられない。この世の暗い部分を愛しているこの俺が、断言してあげよう。君は本当に怪物だよ。力を制御できないんじゃない,する気がない,怠けてるんだ。君って奴は,どこまでも自分の事しか考えてない下種だ」

折原臨也はその時確かに弱っていた。だから,本当に臨也がこの長いセリフを言ったのかについては自信がない。別の記憶が混ざっているのかもしれないが,とにかくその時,臨也は俺に啖呵を切った。そして,こう言った。

「ハハハ・・お前,もういいよ。俺の前から消えろ」

臨也は俺の手を乱暴に払いのけた。立ち尽くす俺に,臨也は顔を歪めて言い放つ。

「シズちゃんは化け物だから友達なんかいらないよなぁ?」

「なに言って,」

「自分は暴力を我慢できない怪物のくせに,俺のような外道は許せないってわけだ。ハハハ,まぁこんな怪我は今まで君の負ってきた怪我に比べたら大したもんでもないだろうから甘んじて受けてやるけどねぇ・・・君,何木偶みたいにつったってんの。さっさと消えろっつっただろ」

「臨也ァ・・」

「また暴力?ハ,上等だよ。ただし,スカスカの脳みそにこれだけは刻みつけておけよ」

臨也の赤い目がギラリと光った。

「平和島静雄,君はこれから先,二度と,平和で静かな生活なんか送れないね」

「君は自分の力を嫌ってる,それを使わせる奴を憎んでる,だけどさぁ,それっておかしいだろ。お前こそが暴力なんだよ。暴力がお前なんだよ。どこに行ったって何をやったって,お前は何もかも壊すしかできないんだよ」

俺は今度こそ臨也を殺すくらいに痛めつけた。そうして,なかば放心状態で俺は臨也を新羅のところへ連れて行った。


しばらくの間,俺は臨也の言葉の真意が分からなくて気持ち悪かった。臨也は,また俺をハメようと狙っているのだろうか?俺を油断させて大切なものを奪っていこうとしているのだろうか。それともあれは予言なのだろうか。負け惜しみのセリフなのだろうか。分からなかった。分からなかったが,臨也の言葉は呪いのように俺を縛り付けた。