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宮城野アリス
宮城野アリス
novelistID. 9620
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星を繋げて・前編【夏コミ米英新刊サンプル】

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1.




 会議が終わると、急に空腹感を覚えるから不思議だ。
 もちろん、会議中だってハンバーガーやシェイクにポテトだって食べたけれど、あれは自分にとってみれば殆どおやつみたいなものだ。
 楕円形を描く机の先には、各国がそれぞれ輪をつくって和気藹々と話に興じていた。欧州のEU、オーストリアとハンガリー、イタリアと日本とドイツなど、大体決まったグループに分かれているようだった。しかし、先ほどまで会議で見せていた緊張感はもはやない。
 まるで仲良しグループのお遊戯みたいだ、なんて思うのは各国に失礼だろうか。でも、アメリカにはそう見えて仕方なかった。
 その輪のひとつ、EUの方にイギリスの姿が見えた。そういえば、彼も加入国のひとつだったっけと、椅子に座ったまま残ったシェイクを啜り、アメリカはイギリスの姿を観察した。
 相変わらず、窮屈そうなスーツを着ている。濃紺の生地は遠目でも上質なものだと知れる、だが、冬という季節に合いすぎて、暗い印象を与えているような気がする。代わりに、中に着ている白いシャツが眩しいくらいだ。ネクタイもオーダーメイドなのだろうか、今日は緑を基調にしたストライプな柄で、地味な服装を好む彼にしては少し派手だな、と感じた。多分スーツが地味な分、ネクタイを柄物にして合わせたのだろう。
 イギリス人は昔から本当に似たような堅苦しい服装しかしない、頭の堅い人間ばかりだ。イギリス本人である彼が、それから外れるなんてことはまずもってないことは百も承知だけれど、服装だけでも、もう少しフランスを見習ってみても良いんじゃないかな、なんてアメリカは思う。顔だって、眉毛はアレだけど、童顔だし素材は悪くないはずなのだ。
 顔だけじゃない。そうだ、あの堅苦しいスーツの下に隠れた薄い肢体を、その甘さを、この中の何人が知っているだろう。いや、誰も知らないに違いない。庭の世話が好きなくせに、日に焼けない白い肌。柔らかなベッドの中に埋もれると、まるで溶けていなくなってしまいそうで、少し恐くなる。そんな不安を覚えるアメリカに、イギリスは細い両腕を伸ばして、妖艶に笑いながらこう言うのだ。
『          』
 飲み干したシェイクがズズズと音を立てたことで、アメリカはハッと我に返った。
 日中になんという不埒な想像をしているんだと自己嫌悪に陥りながら、と同時に逆恨みだと分かっていながらも恨めしい気持ちになり、アメリカはイギリスを遠目から睨付けた。
 こんな風になったのも、全部君のせいなんだからな! と本当なら大声で叫んでやりたいくらいだ。けれど、それをアメリカはグッと飲み込んだ。こんな関係を誰かに知られるくらいなら、いっそ死んだほうがマシだ、と思ったのが一つ。
 もう一つは、イギリスと目が合ってしまったからだった。