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【テニプリ】Marking

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リョーマの艶々とした黒髪と不遜さを滲ませた印象的なアーモンドアイの吊り目、そして、守ることを知らない攻撃するのみのプレイスタイルはこの異国の地でも人を魅了する。最近、ランキングも上位へと上がり、認知度も上がってきた所為か、リョーマのファンは増える一方だ。
「取り敢えず、今日は温和しくホテルで待機しておいてくれ」
乾の言葉にリョーマはむっつりと黙り込んだ。それもこれもすべて、あの魔王の所為なのだ。決着はとうに着いたというのに、どれだけ手塚と自分との仲を邪魔すれば気が済むのか……やり場のない怒りが腹の底から湧いてくる。吊り目がちなリョーマの目はキリキリと吊り上がり、機嫌の悪さも手伝って険悪そのもの。それに乾は溜息を吐いた。
「…明日は、次のトーナメントの為に、早朝にはフロリダに移動だ。今日は早く休めよ」
聞いているのかいないのか…むっつりと押し黙ったリョーマに乾は肩を竦め、急遽、変更した宿泊先のホテルの地下駐車場に車を滑り込ませた。








「…越前に謝らないと…」

放心していた手塚はハッと我に返る。それを横目に見やり、誤解を解くという一仕事をやり終えた跡部は冷蔵庫奥に寝かせた赤ワインを一本取り出し、グラスをひとつ取り出すと、封を開けた。
「お前、越前に啖呵切ったんだったな」
グラスにワインを暢気に注ぐ跡部を手塚は睨んだ。
「お前の所為だろう」
「ひとの所為にすんなよ。お前の所為だろ。それに俺が見ろって言わなくても、お前はどっかで見て、ヒステリックになって引き籠ってただろーが。俺様のお陰で早々、誤解も解けて良かったじゃねぇか」
優雅にグラスを口元に運ぶ跡部の手からグラスを掻っ攫い、手塚はそのグラスをぐいっと煽った。
「おいおい、先まで顔色悪かったヤツが飲んでんじゃねぇよ」
「うるさい」
どうやら、自己嫌悪から開き直った手塚はいつものペースに戻ったらしい。空になったグラスに手酌でワインを注ぎ、飲み干すと深い溜息を吐き、据わった視線を跡部へと向けた。
「……つまみがないぞ。跡部」
「…お前なぁ、人使い荒いぞι」
愚痴りながらも、跡部は冷蔵庫からチーズと棚にあったナッツを取り出し、皿に盛ると、グラスを一つ取り出した。手酌で注ぎ、グラスを満たし、口に含み、跡部は手塚を見やった。
「…電話、しねぇの?」
「…あんなことを言った手前、出来る訳ないだろ」
作品名:【テニプリ】Marking 作家名:冬故