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【テニプリ】Marking

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「誤解だったんだから、構わねぇだろ」
「……それが出来れば、苦労しない」
自分の勘違いが起こしたこと故に、素直になれないらしい。跡部は溜息を吐く。
「でも、早く、謝っといた方がいいぜ。越前のことだから、次のトーナメント投げて来かねぇぞ?」
「…うっ」
リョーマならやりかねない。手塚は言葉に詰まる。その瞬間、跡部の携帯の着信音が鳴り響いた。








「…こうなることは解っていたが…」

リョーマを部屋まで見送り、入ったのを確認して、一時間後…。様子を見に来て見れば返事がない。部屋から失くなっているものはリョーマと財布と携帯電話。乾は溜息を吐く。翌朝の移動の距離を考え、空港に近いホテルを取ったのは失敗だった。今頃、リョーマは飛行機に乗ってしまっただろう。今から、5分前、サンフランシスコ発成田行きの便が出たばかりだ。念のためと思い、乾は空港へと電話を掛けたが、やはり、リョーマは手塚のいる日本へと出国してしまった後…。乾は諦めの溜息を吐くと、手塚の元にいるだろう跡部の携帯の短縮ボタンを押した。






「…そうか。やっぱりな。あの馬鹿は俺様が捕まえて、次のトーナメント開催地まで送り返してやるよ。悪いが、スケジュールの調整、頼むぜ」

通話を切った跡部を心配そうに見やった手塚に跡部は大仰に肩を竦めた。

「俺様が言った通りになったぜ?」

その言葉に手塚は額を押さえ、呻き声を上げた。
「だから、さっさと謝れって言っただろーが」
ほうら、見たことかと言わんばかりに手塚を跡部を見やる。手塚はその視線を無視し、ボトルに手を伸ばした。
「…お前な、飲んでも事態は変わらねぇぞ」
並々とグラスにワインを注ぎ、水でも飲むようにグラスを空けた手塚に跡部は溜息を吐いた。
「うるさい。そんなことは解ってる。……素面で謝れるか!」
手塚はキッと潤んだ瞳で跡部を睨む。睨まれた跡部は小さな溜息を吐いた。何だってコイツはこんなに意固地にただ謝れば済むことをムキになって、出来ずにいるのか?…跡部には解らない。
「ま、後半日すれば…夕方にはこっちに到着するらしいぜ。覚悟を決めとけよ」
「……」
無言で眉を寄せた手塚に跡部はグラスを引きよせ、再び、ワインを注いだ。
作品名:【テニプリ】Marking 作家名:冬故