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【テニプリ】Marking

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完全に母性愛めいたものだが、それを認めたくはない。跡部は眠る手塚の頭を撫でるとブランケットをかけてやり、クロゼットから予備のブランケットを取り出し、寝室を後にするとリビングのソファに横になり、目を閉じた。









「…跡部、起きろ」


揺り動かされ、跡部は目を開く。開いたカーテンから差し込む朝の光が眩しい。
「お早う。朝飯は?」
「…食う」
「解った」
どうやら一晩経って落ち着いたらしい。普段の姿に戻った手塚はジョギングから戻ってきたところなのか、ウェアのまま、キッチンへと入っていく。それを横目に跡部は見やり、伸びをすると欠伸をひとつした。
「手塚、着替え貸せ」
「勝手に使え。シャワーを浴びるなら、ついでに湯を張っておいてくれ」
キッチンから声が帰ってくる。
(俺様を顎で使うのは、お前らぐらいだせ)
眠気と欠伸を噛み殺し、跡部はバスルームへと向かった。







 シャワーを浴びて、普段はリョーマが座る席に跡部は頭を拭きながら、腰を下ろした。テーブルには手塚にしては珍しく、トーストとスクランブルエッグ、インスタントのカップスープ、サラダが並んでいた。
「和食じゃねぇんだな。珍しい」
泊まるたびに、朝は決まって和食を出されるのだが珍しい。跡部はコーヒーを口にするとトーストに噛りついた。
「米が切れた。冷蔵庫の中も空だったしな。…そう言えば、携帯、鳴ってたぞ」
「…ん」
まぐまぐとトーストを頬張り、跡部は背凭れに掛けられたままのジャケットのポケットを探る。待受に二件のメールと着信が入っていた。メールを返信すると、跡部は電話を掛けた。

「樺地、俺だ」

用件のみの通話に電話を切って、再び、電話を掛ける。それを見やり、手塚は跡部を見やった。
「電話は食事が終わってからにしたらどうだ」
行儀が悪いという顔で眉を顰め、俄に説教モードに入った手塚を跡部は溜息を吐いて、見やった。一体、誰の為に電話してると思ってるんだ。
「お前の勘違いの所為で、帰国してくる馬鹿がマスコミにうっかり捕まって騒ぎにならねぇように手回してやってんだろ。有り難く思え」
そう言うと、ぐうっと手塚は口をへの字に曲げ、黙り込んだ。手塚を黙らせるなど中々ないことなので、気分がいい。
「…お前、今日の予定は?」
「午後から講義がある」
作品名:【テニプリ】Marking 作家名:冬故