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【テニプリ】Marking

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トーストとサラダを片付け、コーヒーに口を付けた手塚に跡部は頷いた。
「終わるの何時だ?」
「4時」
「丁度いい時間だな。迎えに来るぜ」
「迎えに?」
「お前拾って、越前捕まえに行きゃあ、丁度いいだろ」
「……そのこと何だが…」
「アーン?」
「俺はリョーマには会わないし、会うつもりはない」
「…は?」
跡部はぱかんと口を開いた。
「リョーマにはお前から、俺が謝っていたと伝えて、アメリカに戻るように言ってくれ」
「…お前な…ι」
謝るなら自分でそう言うべきだろう。自分がそう言って『はい、そうですか』とリョーマが素直に納得するとはどうしても思えない。絶対にごねるに決まっている。跡部は溜息を吐いた。
「そう言って、越前が納得すんのかよ。お前に会うまでは梃でも戻らねぇと思うぞ」
「…昨日、今日であんなひどいことを言ったのに、顔なんか合わせられるか」
いい歳した大人が唇を尖らせてもちっとも可愛くないのだか、手塚の場合、普段のギャップもあってか、可愛く見えなくもない。リョーマなら簡単に誤魔化されるだろうが、誤魔化されてやるには付き合いが長く、本性を知りすぎている。甘い顔ばかりしてはいられない。たまには厳しい態度に出なくては。
「じゃあ、勝手にしろよ。これが原因で別れる羽目になっても、俺様は知らないからな」
跡部は突き放すようにそう言い、コーヒーを飲み干した。突き放された手塚は眉間に皺を寄せ、跡部を睨む。それを跡部は無視し、立ち上がった。
「朝飯、御馳走さん。んじゃ、仕事もあるから帰るぜ」
コートを掴み、車のキーを取る。それをムムムッと手塚は睨む。
「じゃあな」
「待て!」
ハシッとコートの裾を掴まれ、跡部は足を止めた。
「…何だよ?」
「…行く」
「アン?」
「一緒に迎えに行くと言ってるんだッ」
むぅとしつつも、手塚も必死らしい。それを小気味良く見返せば、手塚は不愉快そうに眉を寄せた。
「んじゃ、後で大学に迎えに来てやるよ。それまで、大人しく覚悟決めとくんだぜ?」
わしわしと跡部に頭を撫でられ、手塚は口をへの字に曲げ、こくりと不承不承頷いた。













「………」

空港に到着し、一般客に混じり出口に向かいながら、リョーマは溜息を吐く。
(…気が重いな)
勢いに任せて帰って来たけれど、誤解とは言え、手塚が会ってくれるのかも解らない。
「…はぁ」
作品名:【テニプリ】Marking 作家名:冬故