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【テニプリ】Marking

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跡部の容貌は人目を惹く。目立つ二人を遠巻きにひそひそと話す人だかりが出来ている。目立つのは好きだが、面倒事は御免だ。跡部は憮然とするリョーマを急かし、タクシー待ちの列から抜け出すと駐車場へと向かった。






「ところでさ、ちゃんと国光さんに、説明してくれたの?」
「アン?」
車の助手席に乗り込んだリョーマがドアを閉めた跡部を睨む。睨まれた跡部は肩を竦め、車を発進させた。
「したぜ。…んで、一緒に迎えに来るハズだったんだがよ」
跡部は溜息を吐いた。
「?、いないじゃん」
「バックレやがったんだよ」
跡部は深い溜息を吐いた。





 一時間前の事…。

 大学校内。駐車場に車を止めた跡部は待ち合わせに指定した学食へと向かった。ルーズな癖に時間にはやたら煩い手塚に文句を言われない為に、約束の時間、15分も前にやって来た。

「まだ来てねぇのか」

辺りを見回すが小憎たらしい手塚の顔は見えない。そのうち来るだろうと、跡部は出入口の良く見える席を陣取り、脚を組んだ。

「…来ねぇな」

約束の時間になっても、手塚は現れない。講義が長引いているのかと、更に5分待つ…。

「…遅ぇ」

待たせるのは慣れているが、待たされるのは慣れていない。跡部の眉間にみしりと皺が寄った。そこに、暢気な声が降って来た。
「あ、いたいた、跡部くん」
視線をくれれば、目の前にはオレンジ色の髪の男。
「…千石」
「久しぶりだねぇ、跡部クン」
留年すること早4年。今だに大学2年生な千石を見やり、跡部は眉を寄せた。
「…何だよ。お前と遊んでる時間はねぇんだ」
「ありゃりゃ、随分なごあいさつだねぇ。まあ、イイケド。手塚クンから伝言預かって来たんだけど」
「アン?」
跡部は片眉を引き上げた。
「悪いが、やっぱり会えない。お前から謝っておいてくれ…ってさ」
手塚を真似て眉間に皺を寄せる千石に、跡部は怒りを込めた溜息を吐いた。
「…逃げやがったな、手塚ァァァッッッ!!!!!」
学食に跡部の怒声がわんわんと響き渡った。










「…とゆー訳で、アイツは逃げた。お前、どうすんだよ?」




赤信号で車を止めた跡部は助手席のリョーマを見やる。リョーマははぁと深い溜息を吐いた。
「…どーするって、会うまで帰るつもりないし」
「…だよな」
跡部もつられて溜息を吐く。
作品名:【テニプリ】Marking 作家名:冬故