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【テニプリ】Marking

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手塚馬鹿なリョーマに付き合うのは本当に疲れる。跡部は早々に電話を切ろうと投げやりに相槌を打った。
「ちゃんと、オレが帰って来るまでに、誤解解いといてよね!」
リョーマは散々念を押して跡部との電話を切った。
「…大丈夫かなぁ?」
手塚は一途で可愛い半面、頑固で自分の考えを中々覆さないひとだ。リョーマは深い溜息を吐く。出来ることならば、今すぐ、飛んで帰りたいのが、これから、インタビューの仕事が入っている。
「乾先輩、インタビュー、すっぽかせません?」
「馬鹿を言うな、越前。…あ、」
リョーマの戯言を耳に、画面の文字を追っていた乾は間の抜けた声を上げた。
「何すか?」
乾の指が指し示した文字にリョーマは目を開き、頭を抱え込んだ。









「…面倒くせぇ」


リョーマとの電話を切った跡部は溜息を吐く。揶揄うつもりが、とんでもない方向に話が進んでしまっている。
「…ってゆーか、何で俺様が越前に顎で使われねぇといけねぇんだ、アーン?」
口を吐くのはぼやきに近い愚痴。ほっとくと言う手もあるのだか、頼まれた以上は責任があると言うか、世話好きかつ、なお面倒見がいい性格が災いして、それも出来ない。跡部は再び、溜息を吐き、コートを引っ掛けると車のキーを取った。







「…出やがらねぇな」

チャイムを鳴らすも応答がない。手塚が住居としている部屋は自分が所有するマンションの一室。跡部はマスターキーを取り出し、ずかずかといつもの様に部屋に侵入した。手塚の様子を心配するリョーマに顎でこき使われ、週に一度は様子を見に来ているのだが、手塚は時々、栄養失調を起こし、倒れていることがあるので油断がならない。
「いんのか?、手塚?」
部屋は真っ暗。手探りで壁のスイッチを探り、明かりをつける。そして、案の定、床にうずくまっている手塚を目にし、跡部は頭痛を覚え額を押さえた。
「…いるんなら、返事ぐらいしろよ」
跡部はコートを椅子の背凭れに預けると、手塚の顔を覗き込んだ。
「ひでぇツラだな」
青ざめた手塚の顔に生気はなく、唇がカサカサと乾いて、綺麗な顔だが仏頂面で態度は無愛想かつ横柄な手塚は見るも無惨に打ち拉がれていた。
「…うるさい…誰の所為だ…」
普段は良く通る声もカラカラに掠れ、頬には乾いた涙の痕が残る。跡部は猫でも撫でるようにその頬に触れた。
「…飯は食ったのか?」
作品名:【テニプリ】Marking 作家名:冬故