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【テニプリ】Marking

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「ん?」
「何をしに来た?」
「アーン?誤解を解きにな」
丼を片付け、跡部が言う。それに手塚が眉を寄せた。
「誤解?、何が誤解だと言うんだ?」
不機嫌を隠そうともせず、睨み付いてくる手塚に跡部は肩を竦めた。昔からそうだ。
(…信頼されてんのか、何なのか…。多分、八つ当たり出来る相手が俺様しかいねぇんだろうな…)
手塚は自分にだけはリョーマには見せないマイナス感情を隠そうともせず、ぶつけてくる。
(…俺様も心が広いぜ)
手塚に当たられ、たまに腹も立つのだが、長い付き合いもあって慣れてしまった…と、言うか、自分に対して、媚びもなく、下心もない、言いたいことあればズケズケ言う奴など周りに手塚しかいなかった。
(…うーん。手塚と俺様の関係って…)
友人ではない…手塚もそう思っているだろう。そして、今はライバルでもない。
(…知り合い以上友人未満だぜ。…なのにどうして、世話焼いてやってんだろうなぁ…俺様は…)
跡部は心の中、ひっそり溜息を吐き、手塚の空になった湯飲みにお変わりを注ぎ、客用の湯飲みを棚から取り出すと自分の分を注ぎ、跡部は床に座り、一口。やっと、人心地が着いた気がして、吐息が漏れた。
「…見たわけね。週刊誌」
テーブルに広げられたままの雑誌を一瞥し、跡部は手塚を見やる。それに手塚は冷たい視線を返した。
「お前が見ろと言ったんだ」
「まぁな。…で、感想は?」
「感想?、そんなものあるか。胸糞悪い」
ギラリとその場に居る者を射殺すような殺気だった視線に鳥肌が立つ。リョーマが絡むといつもの冷静沈着を絵に描いたような真面目な男は嫉妬深い、独占欲の強い男に変貌してしまう。よくもまあ、こんな男を越前は可愛いと言えるものだと、跡部は苦笑してしまう。とても、この幼馴染を自分は可愛いとは思えない。
「越前が他の奴と寝たって思ってんのか?」
「そうだろう。その写真が証拠だ」
怒りを滲ませた瞳に過ぎるのは、悲しみ。本当にリョーマが浮気したと思い込んでいる。あの爪痕は自分が印した言う自覚は手塚にはないらしい。これでは、リョーマは掻き毟られ損だ。
「…写真、全豪オープンのときのだよな?」
「?、それがどうした?」
眉間に皺を刻んだ手塚が跡部を睨む。跡部は肩を竦めた。
「このとき、お前、越前にせがまれて確か見に来てたよな?」
「…? あぁ…」
「越前が凄いはしゃいで、大変だったよなぁ?」
作品名:【テニプリ】Marking 作家名:冬故