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Love yearns(米→→→英から始まる英米)

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Love yearns act10 UK side


「良い天気だね」
「そうだな」
太陽の光に目を眇めながら無邪気に放たれた台詞にシートを敷いていた
イギリスは穏やかに同意した。
にこにこと無邪気に笑うアメリカはイギリスがシートを敷いている間は俺がお弁当を
守るんだぞと宣言し、その言葉の通りに弁当を大事なモノのように抱えている。
いつものように行われた会議はやはり有意義な話が出るはずもなく
進行役のドイツの溜息交じりの休会宣言と共にイギリスの元に駆け寄ったアメリカは
今日はせっかくお弁当を作ってきたのだから、外で食べようと目を輝かせて提案をした。
最初は12月だから外は寒いだろうと止めたイギリスだったが、アメリカがあまりにも
悲しそうな眼をするので、結局は完全防寒を条件とし、会議の合間の休憩を会議場から
少し離れた公園で過ごすことになった。
そのくせ弁当と部下に命じてシートを持ってこさせたのだからアメリカのことを
強く言えないのかもしれない。
シートを敷き終えたイギリスが腰かけると弁当を抱えながら作業を見守っていた
アメリカもその隣に腰掛ける。
ぴたり、と隙間もないほどくっついてくるアメリカにイギリスは苦笑を零した。
「こらアメリカ。そんなにくっついていたらメシが食えねえだろ」
窘めるには甘すぎる声で注意をする。
案の定、アメリカは不満そうに少し口を尖らせただけでもっとと言わんばかりに
身を寄せた。
むずがるように肩に額を擦り付けるアメリカの後頭部の髪をそっと梳く。
さらさらの金糸がイギリスの指を擦りぬけてはらはらと舞い落ちた。
何度か繰り返し梳いているとぐりぐりと擦り付けていたアメリカを顔を上げた。
オーシャンブルーが微かに潤んでイギリスを誘う。
ごくりと思わず生唾を飲み込んだイギリスに向かってアメリカは口を開いた。

「イギリス」
「お前なあ。ここは外だし」
「ん」

呼び掛けだけで何を求められたか察したイギリスは立派な眉を顰める。
さすがにどこかの国に見られるかわからない状況でアメリカの要求を
呑むことはできない。
半ば押しかかる様に身体を寄せるアメリカを刺激しないように押し返すと
泣きだしそうにへにょりと眉を下げられた。
う、とイギリスは呻いて胸を抑える。
元々アメリカに対して、甘すぎる傾向ではあったが、アメリカが子供がえりしてからは
坂道を転がり落ちるように更に甘やかすようになった。
その結果、アメリカが身につけたのがこの表情でどんな我儘さえもこの表情を
浮かべられるとイギリスは許してしまうのだ。
今回も押し切るつもりなのかアメリカは眉を下げたままじりじりとにじり寄る。
「だ・・・駄目だ。これだけは駄目だ」
だがさすがに今回だけは首を縦に振るわけにはいかなかった。
懊悩を振り切るように押し返す手に力を込める。
「いぎりす」
うわあ、だからそんな声で呼ぶなって。
叫び出したいのを腹に力をぐっと込めて我慢し、イギリスはわざと渋面を作った。
対するアメリカも退く気がないのか更にぐっと距離を詰める。
息の詰まるような見つめあいの最中、先に視線を逸らしたのはアメリカだった。
明らかに気落ちした悲しそうな表情で「我儘言ってごめん、イギリス」と謝罪を告げる。
その謝罪を「ああ」と受け取りながらも何故か自分がとてもひどい男のように思えて
イギリスは頬を撫でて、注意をこちらに向けた。
「いぎり、ん・・・」
顔を向けた隙を見計らって口を塞ぐ。
最初は驚いたように瞬きを繰り返していたアメリカだったが、すぐに安心したように
強張る身体の力を抜き、イギリスにその身を任せた。
潜り込ませた舌で柔らかく上顎を擽り、肉厚のアメリカの舌に絡ませて
その感触を味わう。
アメリカはキスに慣れておらず、うまく呑み込むどころか涎をうまく啜ることもできずに
真っ赤な顔で必死にキスに答えようとする。
その姿があまりにも可愛くて愛おしくて、柔らかな口内を弄ることを止められない。
結局、イギリスがアメリカを解放したのは縋りついていたアメリカの手が力を失って
だらりと力なく垂れ下がった頃であった。
イギリスの腕の中で身体を弛緩させたアメリカの口の端から零れる涎をポケットから
取り出したハンカチで優しく拭う。
頬を赤く上気させ、視線を宙に彷徨わせていたアメリカはイギリスのされるがままに
身を任せていた。
最後にもう一度だけと口唇を軽く食むとふるりと身を震わせる。
そうして伏せていた瞳を開けて、潤んだ眼差しでイギリス、とひどく幼い様子で
アメリカは呟いた。

―――――アメリカには世界で一番好きな人が居るのだという。
一カ月ほど前に本人から告げられた台詞は未だイギリスの心を深く抉り続けていた。
どんなに好きでも叶わない恋なのだとアメリカは切なげに告白した。
それはアメリカだけではなく、イギリスにも通じることで、イギリスもまた決して
叶うことの無い恋情に身を焦がしていた。
だがそれでも好きでいることを、愛していることを許してくれればいいと思っていた。
すくなくとも一ヶ月前は。
しかし今は、アメリカの口唇の甘さを知ってしまった今はそんな健気な気持ちなど
薄れつつあった。