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Love yearns(米→→→英から始まる英米)

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Love yearns act3


翌日の会議はアメリカが自分で考えていたよりもごく普通に振る舞うことが出来た。
相変わらず、イギリスやフランスはこちらを窺っていたけれどもアメリカは動揺を
見せることなく、自分の意見を発していった。
その様子を見て大多数の国がアメリカはもう大丈夫だと安堵し、その後の会議は
いつものように混迷を極めたが、生真面目なドイツと日本が事態の収拾に
追われることにより何とか時間通りに終えることが出来た。
会議が終わってもなかなか離席しなかったアメリカは深く息を吸い
覚悟を決めたように口唇を引き結び珍しく真面目な面持ちでイギリスの元へ向かった。
イギリスはちょうど日本と話しているところで、近づいてくるアメリカに
先に気づいた日本は軽く会釈をして場を離れる。
日本?と戸惑うように呼んだイギリスはそこでようやくアメリカが自分の元に
向かっていることに気づき、ぴしりと彫像のように固まった。
「イギリス」
「な、なんだよ?」
「ちょっと話をしたいんだけど」
控えめに申し出てみるとイギリスはぎこちなく頷いた。
拒否をする気はないが、積極的に話をしたいわけでもないらしい。
だがそんなイギリスの気持ちをあえて無視して、アメリカは予備に取ってあった部屋に
イギリスを連れていく。
部屋の使用権については、予め日本には話を通してあるので問題は無い。
「イギリス」
「だからなんだよ・・・」
扉を閉めて向き合うとイギリスはぷいと視線を逸らした。
どことなく様子が変だが、アメリカの気持ちを知ってしまったならば
誘いになど応じないはずなので、日本は約束通り言わないでくれたらしい。
内心そのことに安堵しながらアメリカは話を切り出す。
「一応、礼を言っておこうと思って」
「礼・・・?」
訝しむように呟いたイギリスはようやく視線をこちらに向けた。
見透かすような視線にアメリカは笑顔を浮かべる。
あくまでイギリスとアメリカ合衆国のスタイルを崩さないように。
「キミのまっずーいサンドイッチでも腹の足しにはなったからね」
「・・・食べたのか・・・」
「食べないと可哀想だろ。あんなに暴虐の限りを尽くされた食材が報われないよ!」
何時も通りの会話だった。
アメリカがイギリスの作った料理をけなすのは通常儀礼のようなもので
そのアメリカの態度にムキになって怒るのがいつものやり取りだった。
けれどイギリスははっと息をのみ込み、一瞬視線を逸らす。
らしくない態度に戸惑いを覚えるよりも早くその言葉はアメリカに向けられた。
「・・・お前さ、俺のこと嫌いなんだろ」
低く、深みのある声音。
まるで闇の中から手招くゴーストのような冷えた恐ろしい声だった。
この声をアメリカは以前聞いたことがある。
独立戦争後、調印式でイギリスに話しかけようとしたアメリカに差し向けられた声だ。
冴えわたる刃のような眼差しもあのときと欠片も変わっていない。
どうして、と震えそうになる声を抑えつけてイギリスに問いかける。
「何を、言っているんだい?」
「否定しなくて良い。迷惑かけないでほしい。いい加減我慢も限界だって言ってたろ」
「あれは・・・」
違うとは言えなかった。
そう言わなければアメリカはもっと酷い、イギリスにとっては青天の霹靂ともいえる
言葉をぶつけそうになったのだ。
だからそれを隠すためにあえてあのような言葉をぶつけた。
本当のことなど言えるはずが無かった。
イギリスとフランスの仲に嫉妬しただなんて。
言い淀むアメリカにイギリスは悟りきったような表情を向ける。
視線で人が切り刻まれるならアメリカはバラバラになっていただろう。
それほど強く鋭い視線がアメリカを縛り付けた。
「俺のこと嫌いなんだろ。だから独立したんだろ」
「どうしてそんな話になるんだい!?」
「ほら、否定しねぇじゃねぇか。わかってんだよ。俺だって」
かああと頭に血が昇った。
(何が、わかっている、だって?
何も知らない癖に。俺がどんなにキミを愛しているか、わかろうともしないくせに)
躊躇いはほんの一瞬だった。
息を吸い、イギリスに向かって声を張り上げる。