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Love yearns(米→→→英から始まる英米)

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「―――――っ、ああそうさ!!君のことがうっとおしくて大っ嫌いだったから
 独立したのさ!!」
これで満足かい!!
叩きつけるように叫んでアメリカはイギリスを睨みつけた。
イギリスはたじろぎもせずに受け止める。
そして、少し顔を斜めに傾けて息をついた。
喚きもしないイギリスの態度に興奮が冷めていく。
乾ききった喉が引き攣り、息を忘れそうになる。
今、自分はイギリスに何て言った?
どんなに怒りに駆られても、口にしてはいけないことを口にしなかったか?
ごめん、だなんて謝れない。
謝ってしまったら言葉を肯定することになってしまう。
どうしよう。
再び顔を上げたイギリスは嘲笑を浮かべていた。
「・・・・・・それが本音か。まあ俺もお前が大嫌いだよ。アメリカ」
憎しみに凝り固まった温度の無い声音。
ひくり、と喉を震わせたきり言葉を発せないアメリカをはっきりと侮蔑の目で睨んで
言葉を続ける。
「弟じゃないお前なんていらねぇんだよ。お前だって、俺の弟でいるのは嫌なんだろ」
「―――――っ」
何も言えずに立ち尽くすアメリカの横を通り、イギリスは扉のノブに手を掛けた。
カチャリ、と鍵を開ける音が響き、扉が開かれる。
まだ多くの国が残っているのかざわめきが遠くから聞こえた。
「じゃあな。合衆国」
その一言を残し、振り返ることなくイギリスは部屋を出て行った。
バタン、と扉が閉まる音にようやくアメリカは音を零す。
「あ・・・」
もうそれ以上、単語を発することが出来なかった。
「あ、あああ・・・・・・」
がくん、と螺子が切れた人形のように床に膝着く。
力を失った上半身がぐにゃりと折れて、アメリカは床に額を擦りつけた。
不思議と涙は出なかった。
ただ胸の中が苦しくて、頭がガンガンと痛む。
『お前なんていらねぇんだよ』というイギリスの言葉が何度も頭の中で繰り返される。
右手で胸をぎゅっと掴んでアメリカは床に丸まった。
そうでもしないと喪失の痛みに耐えられない。
壊して、しまった。
独立してからも憎いとは言われたことがあったが、嫌いとは言われたことが無かった。
憎まれていても、嫌われていないのだから憎しみがいつか溶けるように
頑張っていこうと思っていた。
その甲斐あって、最近はようやく表向きの友好国だけではなく
プライベートでも彼と仲良くなり始めたばかりだというのに。
これは報いなのだろうか。
元兄弟でありながらイギリスを愛してしまったことに対する罰。
だとしたら何て効果的な罰なのだろうか。
アメリカにとって、これ以上の裁きなど無い。
「うっ、あああ・・・イ、ギ、リス・・・」
ひび割れ、掠れた声がアメリカの喉から漏れた。
考えて出した音では無い。
本能の赴くまま、感情が零れ落ちていく。
守っていた想いがぐしゃぐしゃに踏み躙られて、ひしゃげていく。
身体を起こすことすらできないまま、せめて想いだけは守ろうと
優しかった頃の、英領アメリカに向けていた笑顔を思い出す。
「アメリカ」
アイスよりもメープルシロップよりも甘い、愛しさに満ちた声。
アメリカを愛してくれるイギリスはもう過去にしかいない。
「イギリス」
このままどこかにいなくなってしまいたい。
国である以上、自らいなくなることなどできない。
それでも、傷ついたアメリカの心は消滅を願い、守ろうとした想いが
静かに崩れ落ちていった。