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フレンドボーイ42
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novelistID. 608
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【完全読み切り】想

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 なんで?何で私に優しくしてくれるのさ。私は一度だってあんたにいいことはしなかったじゃないか。私はずっとあんたをいじめ続けた。いくら、悪いやつらにおびえて、といったって、悪いことには変わりはない。そんなことで許される話ではないし。
 …なんで…。

 あいつは、そしてあの日、私に言ったのだ。
 「なあ…、好きになっていいか?」
 私はこう切り返したはずだ。
 「なんで私に許可を求めるの」
 私はそのあとレッドと長い口付けをした。

 そして、リーグ準決勝。すでに準決勝一戦目でグリーンが勝っており、私とレッド、勝った方がグリーンと戦うことになっていた。

 はっきり言おう。私はわざと負けた。あいつがグリーンを戦うことを望んでいることを知っていたから。
 
 しかし彼は満足いくところまでいかなかった。

 グリーンがあいつとの勝負の前夜に、何者かに襲撃されたからだ。
 グリーンはそれでもレッドと戦った。当然、レッドが勝った。レッドは審判に、グリーンが完全に復帰してからの再試合を申し入れたが、グリーン側がそれを拒絶した。グリーンはグリーンで、レッドに何らかの責任を感じていたのだろうか、しかしそれはあいつの心を読まなくてはわからないことである。

 そのあとだった。あいつが暗くなったのは。
 私はあいつとデートしたりあいつにいろんなものをあげたり、―そしてその中にはレッドのポケモンにつける、バンダナがあったが、―あいつは二度と笑顔を見せることはなく、そしていつの間にかいなくなった。

 レッドの母親は捜索願を警察に出し、そして全国で捜索活動が繰り広げられたが、しかし何の手がかりすらなかった。

 私があいつの家に訪問した時、レッドの母親の了解を得て、私はあいつの部屋をのぞいた。
 私があげたものは、みんな部屋の隅っこに押しやられていた。

 だが。

 バンダナはなかった。間違いない。持っていったのだ。

 バンダナは光の方向によって二色のどちらかに変わる特殊な製法の糸を用いて縫われたもので、私がハンズキット店にオーダーメイドを申し込んだものだ。バンダナは赤と黄色(レッド《あいつ》とイエロー《私》)の二色に変色し、しかし文字部分は他の部分と逆の色に変色するようなバンダナ。
私の分とあいつの分を用意して、そしてレッドの分をあげたわけである。