二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

THIS LOVE @6/27新刊サンプル

INDEX|2ページ/12ページ|

次のページ前のページ
 

 
 
 
「こういうところにいると、色んなことがよく分かりますね」
「分かったような気になってるだけさ」
 臨也の口調は、揶揄するようなものではなく、それでいて、特に諭すふうでもなかった。ただ単に、自分の感想を飾り気なく述べただけなのだといったような、静かで、単調な喋り方だった。
「分かったような気になることを、人は、『分かった』っていうんじゃないですかね。自分以外のことについて、わかることなんて、きっとほとんどないですよ」。帝人は自嘲っぽく―――でもそれでいてどこか無邪気なふうに―――ちいさく笑った。「そもそも、自分自身のことについてだって、分かりきってる人間なんていないでしょうけど」
「君もそう?」
「さあ、どうでしょうね」
 とぼけたように答える帝人に対して、臨也は吐息だけで笑ってみせた。それでもすぐに、彼は顔から表情を消して、再び表の通りを眺める。そのすっと通った鼻筋の、先端は、すっかり濡れてしまっている。
 彼はなにごとかについて、深く考え込んでいるようだった。