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THIS LOVE @6/27新刊サンプル

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 九瑠璃と舞流は、ファーストフードの紙袋を抱えてやって来た。彼女たちは、真夏の午後の陽光の埃っぽさと、かすかな汗の入り混じったシャンプーの香りを纏っていた。それが、冷房のきいた涼しい室内で、少しずつかわいていく。少女らしい甘い肌のにおいが、それまで部屋にみちていた空気と溶けあって、そのつくりかえられたような雰囲気は、臨也をほんの少しだけ、戸惑わせた。
「おみやげ。」
 にっこりと微笑んだ舞流がそう言い、九瑠璃が手に持っていたそれを、兄へと向かって差し出す。臨也は、それを、黙って受け取った。
 生ぬるくなった紙袋の、ごわごわとした感触も、安っぽい油のにおいも、久しぶりだ、と思ってから、彼は、ここ数日、自分がろくに食事を摂っていなかったことに思い当たった。しかし、その紙袋をみても、もはやなんの感慨も抱かずにいる自分自身に、彼はそこで気付いてしまった。それは、かつての自分なら、嫌悪すべきものであるはずだったのだ。人の意志の込められていない、ただただ工程通りに生産され続ける、料理とは呼べない代物。