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「シズちゃんは、俺さえいなくなれば、自分は暴力をふるうこともなく、平穏に暮らせるんだって、そう思ってる。違う？」
「違うもなにも、その通りだろうが」
「本当に？」臨也が問いかける。あくまでも淡々とした調子で。「本当に、そう思う？」
　静雄の額に、露骨に皺が寄った。それでも臨也は構わずに続ける。
「ここ数日間、俺たちはどこででも出会わなかった。俺は今、ちょっと訳あって、仕事もほとんどしてないし、家からもあんまり出てなかった。だから君にちょっかいかける暇も余裕も、なかったんだ。本当だよ、嘘じゃない。――それで、訊くけど、そのあいだ、シズちゃん、君は、一体何人の人間を殴って、どれだけの公共物を破壊した？」