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朱璃・翆

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experience



・・・おかしい・・・。

僕は何だか最近変だ。
気がつくと朱璃を目で追っている。
だのに向こうが気付きそうだと思うとさっと目をそらす。

・・・顔が合わせられないのは多分あんなことをされたからではないかと思っているんだが・・・。
朱璃もそう思っているのか、特に僕が顔を逸らす事に対して気にしてないようである。

いや、気にしていないどころか、いつも以上ににこやかに僕の名前を呼び、手を振って駆け寄ってくる。

・・・あれは何だ、嫌がらせか・・・?

普通あんな事をしておいて相手が目を逸らせば、少なくともばつの悪い思いでもして控えめになるか遠慮がちになるのではないのか・・・?

なのにあの悪魔は益々僕の側へ寄ってこようとしている。
周りでは最早僕とあれは完全に付き合っていると思っているようである。この間誰かが話しているのをうっかり耳に入れてしまった。

「何か、朱璃様は、心も体も翆さんに捧げているって話だぜ?」
「うわーなんて羨ましい話なんだ!?俺が翆さんに成り代わりたい・・・。」

・・・冗談じゃない。
朱璃が、僕に、心も、体も、捧げてる・・・!?

どういう過程でそんな噂になってしまったんだ・・・。
あれか・・・?
やはり朱璃の見た目に皆騙されて、か?
ふざけるな、いっそ皆にぶちまけてやろうか!?
いや、多分誰一人信じないだろう・・・。

まったく、何でこんな事に・・・。
心を捧げる!?
おもちゃのように玩ばれているとしか思えない。
体を捧げる!?
捧げるどころか下手したら奪われかねないんだ、こっちは!?

そして僕はこの間のことを思い出して1人で赤くなってしまった。
しかもとんでもない事を口走ってしまった。
思い返しても、確かにまるで嫉妬である。
この僕が、誰にも深入りしない筈の僕が、しかも男相手に、嫉妬、だと・・・?
・・・僕は・・・あの朱璃を・・・?

「よお、翆。お前どうやって朱璃ものにしたんだよ?」

シーナがポンと僕の肩をたたいて声を掛けてきた。
僕はギロッと睨んで言った。

「ものになど、しちゃいない。ふざけるな。」
「おー怖。なんだよ、可愛い朱璃を、物扱いするなってか?」

怯むどころかニヤッと笑ってシーナは言った。
僕はため息をつく。

「なんだよー、お楽しみでお疲れかあ?羨ましい話だな、オイ。酒でも奢れよ。」

そう言ってシーナは激しく勘違いしたまま僕を引っ張って酒場へ連れて行く。
どうにでもなれと投げやりになって、僕は2人分酒を注文した。

「因みにお前も含めて皆、勘違いしている。」
「なんだよ、何がだ?でも、いいよなー?あいつ、ホント男にしておくの、勿体ねえもんな?女だったらなー。でもいっそ男だからこそヤバイ色気あんのかもしんねえけどさあ?あ、悪りいな、自分の相手、こんな風に言われたくねえか?」
「・・・いや、だから・・・」
「でもさあ、お前もさー、実は割りと狙われてたんだぜえ?お前もホント綺麗な顔してっからな?」
「・・・。」
「でさあ、ちゃんと相手できてんのか?だってさーお前ってもてんのに、ホラ、人付き合い避けてるとこあったろ?だからあっちもあんまし経験ないんじゃねえかなって思ってさー?良かったら今度一緒に女郎屋行かねえ?」
「・・・まったくお前は、相変わらずだな?・・・遠慮しておくよ。」

シーナはそうか、と言って笑った。こいつはともすれば女の話ばかりだが、悪い奴ではない。あっけらかんとした、気のいい奴だ。

僕は酒を飲みつつふと思った。
そういえば朱璃はたしか15、16歳位だったはず。
まだ子供といってもいい歳だ。
の割りに、なんであんな手馴れてるんだ?

そう思って僕は少し赤くなった。
シーナは、もう酔ったのか?とか聞いている。
作品名:朱璃・翆 作家名:かなみ