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朱璃・翆

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リーダとなったのだって、別に俺でなくても良かった筈だ。
ゲンカクの子供であって、ゲンカクが宿していた紋章を持っていれば。それこそナナミが紋章を持っていればナナミがなっていたんじゃないか?
第一俺達は本当の子供ではない。ならたまたまそうだったという偶然の賜物だ。もしかしたら例えばトウタが養子であってたまたま紋章を手に入れていたら?
きっと彼がリーダーになっていたんじゃないのか?
勿論人には向き不向きがあるから誰もが出来るって訳ではないかもしれないけれど。


俺はニコニコと笑いながら無気力だった。
なんだってよかった。
戦争と言う名の元での殺人だって、どうでもよかった。
ただ殺しにくるからやり返すだけ。生きている事に意味を見出せないが、別に自殺願望があるわけでもないので、向かってくれば殺す。

ただ、それだけ。
それで俺が殺されるというなら、それはそれ、だった。ただ、俺は強かったから死ななかっただけ。

そうやっている内にどんどん何か膿のようなものが自分の中に溜まっていくような気がした。

耳鳴りがする。

ああ、もしかしたら昔のように急に俺は狂気に飲まれてしまうのだろうか・・・?
今度こそ壊れてしまうのだろうか・・・?


「何でわざとそんな喋り方してるんだ?気持ち悪い。」

「・・・何で隠そうとしてんだ?気持ち悪いから普通に話してくれないか?」

「何だ普通に話せるんじゃないか。作ったような顔つきでもなくなったし。別に猫被る必要なんかないじゃないか?そのままでいいじゃないか。」

「・・・世渡りが楽でも、お前が楽じゃないだろう・・・?」

「僕は、お前が・・・朱璃が、大好きだ・・・。例えどんな過去があろうと・・・愛し、てる・・・。第一、お前は不良品じゃない。僕を救ってくれた最高の人、だ。・・・本当に・・・本当に生まれてきてくれて、ありがとう・・・。」


翆・・・。


あなたに会えたのは奇跡かもしれない。
あなたこそ俺を救ってくれた最上の人。

俺は・・・俺でいいんだと、ようやく思えるようになった。

今度こそ、手放さない。何があっても。あなたがいないと、もう俺は生きていけない。


ナミ・・・?
色んなものを欲しがれって、いっていたよね・・・?

でもね、俺はいつだって、ただ1つだけで良かったんだ。

今ならあなたが俺の事を真剣に考えてくれたって事も分かるよ・・・。捨てられた訳ではなかったって事も・・・。
あなたなりに悩んで俺に最良だと思った事を選んでくれたって事・・・。

でもね・・・?

俺は1つだけで、良かったんだよ・・・?
作品名:朱璃・翆 作家名:かなみ