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朱璃・翆

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・・・龍神。
罰の紋章という呪いを身につけた海の神。

その人物は海のいかなる状態をも熟知していたという。
かすかな波の動き、色などから天候や進みやすい方向など色々な事を読み取り、海戦でも負け知らずだったという。
海から生まれたとも言われており、その呪いによりまた海に帰ったとも言われている。
群島諸国では今でも神のように崇め奉られている英雄であるが、その忌まわしい紋章を世に知らしめないため伝承として言い伝えられているだけである。よって通常は知られておらず、一般の文献にも残っていない。

「子供の頃に一般的な話を習ったんだが、なぜかしっくりいかず、色々調べてこの伝承を知ったんだ・・・。すっかり名前を忘れていたよ。」
「龍神・・・。罰の紋章・・・。」
「うん。罰の紋章はね、受け継ぐというよりも寄生されるといった方がしっくりいくものだったみたいだ。持ち主が力を使うたび、その命をどんどん奪っていき、最後にはすべて喰らい尽くし、持ち主を塵と化す。そして身近にいる者にまた勝手に寄生するんだ。まさに呪いというしかない紋章みたいだな。ただし恐ろしく強力な力を持つ為、今はなきクールークという大国が目をつけたのだろう。悪用する為だろうがな。そんな忌まわしい紋章を、龍神ナミが継承した。そして戦争に打ち勝ち呪いにより海に帰った、多分死んだと言うことだろうが、そう言い伝えられている。」
「じゃあ・・・あのナミとは、別の・・・」
「ただ、もう1つ伝承がある。こっちの方は群島諸国でもあまり知られていない話なんだがな。主に王族クラスなどで伝わっている話だ。・・・僕の父がたまたまそちらにつてがあり知る機会があったんだ。ナミという人物は罰の紋章に主と認められた稀有の人物であり、本来ならある一定の力を使った者はすべて塵となり消えてしまう筈が、ナミは倒れたのちも消えなかったらしい。本人がずっと希望していた通り小さな船に乗せて海に流した後もずっと見張りを立てていたらその後ナミは目覚め、秘密裏に助け出されたとの話だ。・・・その紋章は小さな力であっても使えばその分本人にも必ず返ってくるという何とも鬱陶しい代物だったらしいが、その後ナミがいくら使用しようがまったくそういった事もなく完全に使いこなせたらしい。だからこそ、生きていることは秘密にされたんだろう。またそれを巡って悪用されるのを防ぐため。」
「・・・それを聞くと、”ナミ”という人物は凄い人みたいだな?俺の知っているナミは確かにとても強かったが、普段は惚け、ふざけたところのあるつかみ所のない人だったぞ?」
「うーん、もしナミさんがこの龍神だったなら、アレではないのか?”能ある鷹は爪を隠す”っていう?」

翆は少し考えてからそう言った。朱璃はなんだか妙な顔をしていたが、翆を見てニッコリした。

「とりあえず、わざわざ調べてくれて、ありがとう。」
「どういたしまして?」
「お礼は、アレかな?”体”でいい?」
「いるか!!だいたい昔ナミさんにも言われたんじゃないのか?そんな事言うなって?ただニッコリしてありがとうって言うだけでいいって?」
「ほんとよく覚えてるね?だからニッコリして礼、言ったろ?でもさ、それじゃあ俺の気がすまないからさあ?」

そう言うと、朱璃は翆に近づきキスをした。翆も赤くなりながらも受け入れる。

「・・・ん・・・っん?んんっー」

勿論朱璃はキスだけで済ます気はさらさらない。結局そのまま翆は押し倒されてしまった。

「・・・ほんといい加減にしろ・・・」

後で翆はぐったりと言った。朱璃はニッコリして言った。

「アレだね、翆が美味しそうなのがいけないんだよ?あなたを見てるとなんかある意味お腹がすいてしかたがない状態にそっくりになる。そんで食べても食べてもまだまだ食べたくなるんだ。」
「・・・バカ言うな・・・。」

そう言いながらも翆は赤くなって横を向いた。

「バカはあなただよ?そんな仕草一つ一つが俺をそそってんの、分からないの?そのせいで俺はたえず飢えに苛まれるんだからな?責任、取ってもらおうかな?」
「なっ、ちょ、あ、も・・・」

結局その日は2人とも朱璃の部屋から出てこなかった。
作品名:朱璃・翆 作家名:かなみ