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朱璃・翆

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love-bite



朱璃は国王となった。戴冠式は盛大なものだった。

「疲れたよ。」

部屋に戻ると、ふーっとため息をついてマントを剥ぎ取り、朱璃はベッドに横になった。

「・・・だろうな。まあ、暫く横になって休んでおけ。」
「翆。俺が眠ってる間に行っちゃわないよな?」
「ああ。ここにまだいるよ。」

そう言って翆は横になって今にも眠りそうな朱璃に軽く口づけ、横に座って朱璃の頭を優しく撫でた。
朱璃はさも気持ちよさげにしたかと思うと、すうと眠り出した。

「・・・お休み・・・。」

キャロの街を出る前に朱璃はジョウイと話し合い、翆の知らない内に紋章を1つにしていた。
それを知った翆が口を開こうとしたらいきなりキスをした後、”何も言うな”と一言呟いただけだった。

翆は朱璃を思って悲しくもあったがその反面ずっとこの先共に生きていけるという事が嬉しくもあった。
複雑な顔をした後朱璃を抱きしめ、”愛している”と囁いた。そして真っ赤になって顔をそらした。

朱璃は一瞬ポカンとした顔をしていたが次の瞬間には翆の愛して止まない天使のような笑顔を見せ、ギュッと翆を抱き返した。

ジョウイはそのまま旅立った。
またいつか会おうと言って。
今度の別れは辛くなかった。
間違いなくまた会えると分かっていたからだ。

そしてナナミは道場に残ると言った。
ここで暮らしていきたいからと。
そしてまた皆で遊びに来て欲しいと言った。
自分も朱璃に会いにいくからと笑顔で言った。

そうして幼馴染と姉弟はバラバラに別れたが誰一人悲しむことはなかった。
心がつながっていてまた会えるという事がこれ程心強いものなのかと朱璃は思い、翆にもそう話した。
翆はそうだなと言って微笑んだ。

翆はそれらを思い起こしていた。
自分と朱璃も大丈夫だと思った。
これからずっと、離れることはあっても、いつだって近くに感じる事が出来るだろう。

後は・・・やはり自分は旅立とう。
そしてナミさんを探そう。
翆は前からそうしようと思っていた。
ただナナミが亡くなったり(いや、実際は生きていたが)、戦いが佳境に入ったりでずっと実行できずにいた。

朱璃は王となった。これから暫くは忙しいだろう。
翆も手伝えるならそうしたいところだが、やはり肩書きが邪魔でそういうわけにもいかなかった。
翆に出来る事はない。側にいる事は出来るがどのみち暫くは朱璃も相当慌しいだろうから、旅立つならいまだろうと翆は思った。
だから朱璃にも旅に出ると伝えている。ぬか喜びになっても悪いのでナミさんの事はなにも言っていないが。

朱璃が起きたら行くとしよう。翆はそう思って朱璃が眠っている今のうちに準備を整えた。

「・・・翆・・・?」
「・・・もう起きたのか・・・?もうちょっと眠っておけ。」

窓から外を眺めていたらベッドから朱璃の声が聞こえたので、翆はそちらに行き、そう言った。

「・・・良かった。まだいた。」
「何ホッとしているんだ。言っただろう、お前が眠っている間に行ったりはしないよ。だからもっと眠っておけ。」

あからさまにホッとしている朱璃の横に座って、翆は言った。

「・・・いや、もうぐっすり眠った。なんだ、俺が起きたら行くってことか?だったらまだベッドからは出ないよ。」
「?ああ。っておい。」

朱璃は翆を押し倒しそのまま抱きついた。

「抱き枕。」
「・・・何だそれは・・・。子供だなお前は。」
「ふふ、子供だよ?俺まだ若干16歳前後だぞ?それにほんとに子供の時は子供らしくなかったしさあ、これからはますます子供でいられないからな。今だけガキでいさせろよ。」
「・・・・・。・・・バカだな・・・。僕といるときは好きなようにしてたらいいじゃないか、これからも。」
「うん。だったらほんとに度々戻ってこいよな?俺が俺でいられるようにさ。」
「ああ。そうするよ・・・。」
「・・・翆・・・。・・・寂しいよ・・・。あー言っちゃった。くっそお、言わないつもりだったのに。ごめん、あなたを困らすつもりじゃないからさ、旅、行ってくれていいんだよ?でも、俺・・・あなたがいないのは・・・やっぱ辛いな・・・。ずっと恋しく思うよ・・・。」
「・・・朱璃・・・。」

翆から朱璃に口づけた。
翆はそのまま朱璃の瞼や耳や首筋にキスを降らせた。
そしてそのまま胸元に幾度も強く口付ける。跡が残るくらい。

「ん・・・。どうしたの?あなたがそんなにキスしてくれるなんて初めてだね・・・?」
「・・・僕の痕をつけておきたくなったんだ。お前が僕をずっと感じられるように。」
「ふふ・・・最高。じゃあ、もっとつけてよ。もっとたくさん・・・。」

翆は朱璃の服を剥ぎ取り胸元以外にも痕をつけていった。
その合間に朱璃の口にもキスをする。そして・・・。

「・・・す、い・・・?」
「いつも僕ばかりしてもらっているからね・・・?・・・お前が浮気しないようたくさん色んなところに僕の跡を残す。」

けっして慣れたやり方ではないものの翆の行動に対し、朱璃は悦びに打ち震えた。

「・・・翆・・・翆・・・。・・・俺の大事な・・・人・・・。」

暫く後、少々息が荒くなりながら朱璃は翆に口づけた。
そうしながら手を下にやっていく。
「ん・・・。」
「ありがとう、今度はあなたの番だよ?」
「・・・っあ・・・。朱、璃・・・」
「・・・あなたのその声、その表情・・・暫く見られないなんて・・・俺、おかしくなりそうだ・・・。」
「っんっ、あ・・・・・・。・・・朱・・・璃・・・、お願いだ・・・そのまま最後まで・・・」
「・・・でも・・・あなたこれから旅に出るのに・・・」
「・・・大丈夫だ・・・から・・・。」
「・・・翆・・・。ああ・・・翆。・・・愛してる・・・。」
「ん・・・僕も・・・だよ・・・。」

2人はその後もそのまま暫く身動ぎもせず抱き合っていた。
作品名:朱璃・翆 作家名:かなみ