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朱璃・翆

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magician (doragon king vr.)



「やあ、久しぶり。」
「・・・何しに来たんだい・・・?」
「何だ、その冷たい反応は?何年もの間僕と一緒に戦った仲だというのに?」

ルックは冷めた目つきで翆を見た。翆はそれに気付くとニッコリした。

ここは魔術師の島。翆は旅に出てまずここを訪れ、ルックに会いにきた。

「・・・君のその笑顔、朱璃の次に性質が悪いよ。」
「おや、お前も朱璃の性格に気付いていたのか?」
「ふん、あいつの性格なんて知らないよ。ただあの笑顔が胡散臭いだけだ。君の笑顔もね。まあ、君はめったに笑わないだけましか。」
「すごい言い様だな。相変わらずな性格だな、お前は。」
「・・・。で?何しに来たわけ?」
「何だ、お前に会いに来たとは考えないのか?」
「冗談。さっさと言う気がないなら僕はこれで失礼するよ。」
「分かった分かった。まったく僕より愛想がないな。実は頼み事なんだ。ルック、お前って真の紋章持ちだろ?しかも強い魔力を持ってる。」
「・・・。」
「で、だ。1人の真の紋章持ちを見つけたり感じ取ったりって、お前なら出来るんじゃないかと思って。分かるなら教えて欲しいんだ。」
「・・・何の為に?」

翆はホッとした。
即座に否定されるか、否定しなくとももしかしたら有無を言わさず拒否されるかもしれないと思っていたからだ。

「朱璃にとって・・・とても大切なはずの人なんだ・・・。僕はどうしても見つけ出して会わせたい。それがあっているか間違っているかは分からないが、2人にはもう一度会って話をして欲しい・・・。」
「・・・ならどうして君が頼みに来るんだい?朱璃が来ればいいんじゃないのかい?」
「・・・いや、実は朱璃には黙って行動しているんだ・・・。万が一見つからなかった場合の事も考えて・・・。彼はもう一度会うなんてきっと思いも寄らない事なんじゃないだろうか。」

ルックはじっと翆を見た。そしてため息をついた。

「・・・よく分からないけど・・・まあ多分君が話しを端折っているからだろうけど。分かったよ、やってみよう。君が人に頼み事というのは珍しいからね。あと、その人物が見つかれば朱璃は相当驚くんだろ?それはそれで面白い。」

ルックは朱璃の事を相当曲者だと思っているようだ。まあ間違ってはいないが。

「ありがとう、感謝するよルック。」
「で、何の紋章を持った奴なんだい?」
「ああ、罰の紋章・・・ってルック、どうした?」

紋章の名前を言ったとたん顔を引きつらせたルックに気付いて翆はいぶかしんだ。

「何で・・・。いったい何の知り合いだ・・・。あいつに何の用があるってんだ・・・?」
「何を言って・・・あれ?ルック?もしかしてナミさんと知り合いなのか?」

何かブツブツ言っていたルックは翆を見て言った。

「知り合い?ふん、知り合いなんかじゃないよ。あの食わせ者が僕の知り合いな訳ないだろ。」
「ていうか、明らかに知ってるよな、それ。」
「・・・レックナート様の古い知人だそうだ・・・。たまにこの塔にも来る・・・。ああ、あれと朱璃が知り合いってのは何だか頷けるな、うん。どっちもいい感じに歪んでそうだからね。ああそうか。朱璃の笑顔がどこか胡散臭いと思っていたのは、あれを思い出させるんだな・・・。」

ルックは途中から上の空でぶつぶつと言っていた。翆は呆れてその様子を見ていた。
・・・確かに朱璃はきっとナミさんからあのうそ臭い笑顔を学んだんだろうなと、翆はぼんやり考えていたが我に返りルックに言った。

「じゃあ、今どこにいるか知っているか?ここに来る予定は?僕はナミさんに会いたいんだが。」
「・・・あいつはよく紋章の気配を隠しているから・・・。それにここに来る予定なんか僕が知るわけないだろ。来るときはいつだって突然なんだからね。・・・分かったよ、そんな顔しないでくれないかい。こっちまで暗くなる。とりあえず今すぐは居場所は分からないね。気配を察知できたか、あいつがここに来たら君に知らせるようにしてやるよ。これでいいだろ。」
「・・・ありがとう、ほんとに。」
「ふん。とりあえず君まで気配を消さないようにしててよね。じゃあ、もういいかい。これでも僕は忙しいんだ。」

そう言うとルックは翆の目の前から消えた。
翆はとりあえず魔術師の島から出る事にした。

来た時と同様小さな船を漕ぐ。

「・・・さて、どうしようか・・・。」

翆は呟いた。
旅に出て早々にナミに会える可能性は高まったが、それがいつになるかは未定だ。
だったらルックに頼んではいるが、こちらからも当てもなく探してみたほうがいいのだろうか。
とりあえず魔術師の島に来る前に実家に置いて来た諸々の荷物でも取りに戻ってから南に向かおうか・・・。

翆は考えながら自分の家を目指した。

「お久しぶりでございます。」
「・・・アレン。わざわざ僕の家の前まで、何の用だ?散歩の訳、ないだろ?」
「いかにも。お迎えにあがりました。」
「は?何の?」
「本日は主要都市、国のお偉方達が集まってのパーティがございまして。」
「ちょっと待て。なんで僕が今日ここに来るって知っているんだ・・・?」
「・・・大統領が・・・。翆様がたまたま一度ここに来られたことをお知りになり、忍びの方をおつかいになって・・・その・・・翆様の動向を・・・」
「・・・レパント・・・。・・・僕は出ないよ。そんなの、僕が好まないの、知っているだろう?お偉方って・・・、ん、そういえば朱璃も来るのか?」
「いえ、招待しておりましたが、あちらでも戴冠式が行われたばかり、何かとお忙しいようでして、今回はご欠席されるとの書状が届いておりました。」
「だったら尚更僕は行く気なんかない。レパントにそう伝えていてくれ。」
「翆様。申し訳ございませんが、どうしてもお越しいただけませんでしょうか。今回のパーティは、この国の者だけではなく、群島諸国やその向こうのファレナ女王国の方も招待しております。朱璃様はお越しいただけませんでしたが、あちらの方ではご出席いただけるとの事で、大統領は出来れば本来この国をおつくりになられたあなたにも出ていただきたいとの事でございます。」
「だからそれが嫌なんだって・・・群島諸国・・・?」
「はい。そちらの国々とは今貿易が盛んでございまして、こういった機会でも作っておこうとの考えで今回の企画がなされた訳です。」

翆は考えた。
まさか本人が来る訳はないが、だれかからなんらかの情報を聞くことはできないだろうかと。
普通に一般人として群島に行っても会えないような人物達なのだろうし、いい機会かもしれない。

「・・・分かった。出るよ。」

作品名:朱璃・翆 作家名:かなみ