二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

朱璃・翆

INDEX|36ページ/44ページ|

次のページ前のページ
 

delight(doragon king vr.)



「カ、カイさん!?」
「なんだい、僕に会わせろとか言っておきながら、実は知り合いだった訳?って名前違うけど・・・?」

ルックが翆に言った。

「え?え?まっまさか・・・カイさんが・・・ナミさん・・・?」

翆はかなり動揺していた。

「やあ、また会えたね?あらためて初めまして?かな?そう。ナミです。」

翆に近づいたナミはニッコリとそう言って握手をしてきた。
翆は手を握られたまま口をパクパクさせている。

目の前にいるのは先日会ったカイというベルナデッドのお付をしている、どうみても華奢な感じの美しい顔立ちをした少年である。
翆は朱璃の話を聞いてなんとなく背の高い誠実でまじめそうな、でもがっしりとした青年を想像していた。
自分と背も変わらない儚げな、でも何を考えているか分からない感じの少年などとは思いもよらなかった。
ルックに頼んでおいて良かったと思った。翆だけなら下手すれば一生見つからなかったかもしれない。

「あ・・・その、先日はどうも・・・。あ、えっと、あらためまして、翆です。あの、どうぞよろしくお願いします。」
「ふふ、だから敬語はいいって。この間みたいに普通に、っていっても君の話し方は硬いけどね、まあ普通に喋ってよ?」
「あ、でもこの間は僕はあなただと知らなくて・・・。その、やはり年上の方ですし・・・」
「えー?やだなあ、止めてよー?ほら、見た目は君も俺もかわんないでしょ?だからいいじゃないタメ口で。」
「・・・そういうものですか・・・。では・・・そうします、いや、そうしよう。あの、早速だがお願いがあるんだが・・・」
「なんだい?」
「えっと、あの、朱璃の事なんだが・・・」
「君の恋人の?」

そう言われたとたん翆は赤くなった。

「ふふ、君はすぐに赤くなるんだねえ、面白い。まあ、立ち話もなんだし、どっか座って話しよう。ああ、ルーちゃん部屋借りるねえ。」
「・・・その呼び方は止めろ・・・。勝手にすれば?」
「じゃあ、こっち・・・。ああ、ルーたんお茶とかお構いなくう?。」

今にも切り裂きをくらわしそうなルックを尻目に2人は近くの部屋に入りお互い向き合うように1人掛けのソファに座った。

「で、何?」

ナミは首を傾げて聞いてきた。

「朱璃は・・・あなたの・・・何ていうか、育て子みたいなものだろう?その、会いたくないか・・・?」
「なぜ?」
「なぜって・・・。」

ナミが平然と聞いてきたので翆は戸惑った。

「俺は過去の人間だよ?朱璃は今や君という大切な相手もいるし、今更俺が出てきたところで動揺するだけじゃないかなあ?」
「もしかしたらそうかもしれないが、でもきっとあなたに会いたいに決まっている。あなたは朱璃の大切な人なんだ。もし会っても憎しみしか湧かなかったとしても、それでも会って欲しい。朱璃はまだあなたを引きずっている。・・・あなたは朱璃のこと、どう思っているんだ?」
「うーん。・・・分かったよ、そんな風に見ないで欲しいな。何もかも見透かそうとしてるのかい?ちゃんとはぐらかさずに喋ればいいんだろう?」

この間や今日の今の今までのようにのらりくらりと話すナミを翆はじっと見つめていると、ナミがため息をついてそういった。

「大切な子だよ?・・・幸せになってもらいたかった。まさかゲンカクに預けてのちあんな事になるとは思ってもみなかった。・・・普通の暮らしをして欲しいと思っていたのに・・・。でもあの子はほんとうに強い子だったね。何もかも乗り越えて今が1番幸せなんじゃないかなあ。だからこそ俺は会わないほうが良いと思うよ?」
「・・・でも、僕だったら・・・また会いたいと思う・・・。僕には会いたくとも会えない人が何人もいる・・・。・・・でも、あなた方は・・・会える。なのに会わないなんて・・・」

翆は俯いて囁くように言った。ナミはため息をついた。

「・・・ずっとね・・・、これでもずっと遠くからあの子の事、伺っていたんだよ?ゲンカクが死んだと分かった時はどうしようかと思ったが、ナナミっていう兄弟がいたし、仲の良い友達とかもいたようだし・・・そうこうしているうちにあの戦いに巻き込まれ気付けばリーダーなんかになっていた。俺はね、俺はこんなだから、きっと朱璃をきちんと育てられないだろうと思って、信用できる人物に預けた。なのに朱璃は殻に閉じこもったまま。しかも普通の生活どころか俺のように戦う羽目になってしまっていた。これでもさ、すごく悩んだよ?間違っていたのだろうか、とか、今からでも朱璃を連れ出そうか、とか。そのうちに君がね、現れたんだ。・・・ほんとに、ありがとう。君が朱璃を救ってくれたんだ。あのままだといくら強い朱璃でも壊れていたかもしれない。そんな朱璃を君が救ってくれたんだよ。感謝しきれないね。」

そう言ってナミは翆の手をとってニッコリと笑った。

翆はふと朱璃を思い浮かべた。本当の笑顔・・・。

「これからも出来れば朱璃を支えて欲しい。・・・だから俺は、会わない、というより会えない。今でも間違った事をしたわけではないと思ってはいるけど、朱璃にとっては結局良い結果にならなかったんだから。」

今日は一緒に夜ご飯食べながら飲もうねと言って、ナミは一旦部屋を出ていった。

翆は暫く黙って座ったままだったが急に立ち上がり、ルックを探した。

「今度は何。」
「悪いが僕を朱璃の所に飛ばしてくれないか。君も一緒に。それでまた朱璃と僕をここまで送って欲しいんだ。」
「・・・人使いが荒いよ。何で僕がそこまでしなくっちゃいけない訳?」
「頼む。普通に行って帰ってじゃ数日経ってしまう。それじゃあまたナミさんはいなくなってしまうから・・・。」
「・・・この借りは高いよ?」

そう言ったかと思うとすでに朱璃の部屋にいた。
気付けば唖然とこちらを見ている朱璃がいる。
どうやら書類処理を机でしていたようだった。
ルックは気を利かせてくれたのか、行くときに呼んでと部屋の外へ行ってしまった。

「・・・す、い・・・?えっと、ルックと一緒に、どうしたんだ・・・?・・・でも、わあ、久しぶりだ・・・。2週間ぶりくらい、かなあ。」

そう言うと椅子から立ち上がり翆の所まで走ってきたかと思うと抱きしめキスをしてきた。

「あー嬉しいな、会えて。ルックと一緒ってゆーのが気に食わないけど、まあいいよ。何だか知んないけどあいつこのまま待たせて、やんない?」
「ちょ、バカ、何言ってるんだ。いや、会えて嬉しいのは僕も一緒だが、何言ってんだ、ほんとにもう・・・。」

赤くなりながら翆は朱璃を離した。

「それより朱璃。その、もし会えるならお前、ナミさんに会いたい?」
「・・・いきなりだね?そりゃあね、会えるものならね。会って愚痴の1つや2つ言ってみたいものだね。」

そう言いながらも朱璃は動揺していた。

・・・本当に自分が強引にこんな事してしまっていいのだろうか・・・翆はそう思いながらもこのままでは平行線だと思い直し、朱璃の手をとった。

「ちょっと時間、くれないか。ルッーク。頼む。」

翆が朱璃の手をとり部屋から出てるとすでにルックは何らかを唱えていた。


そして気付けば朱璃は知らない場所にいた。

「何だここ。」
作品名:朱璃・翆 作家名:かなみ