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朱璃・翆

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「やあ、おはよう、朱璃。」

ファルーシュがニッコリと言った。

「・・・おはよう・・・。」

あの後、ファルーシュは暫くここに滞在するという事になった。

ファルーシュ達が案内された部屋へと行った後、朱璃はシュウに言った。

「おい・・・。俺にどうしろってんだよ・・・。」
「そうですね、まあ仲良くやっていただくにこしたことはない。」
「何言ってんだ?シュウ。俺にあいつと結婚しろとか言ってんじゃないだろうな?」
「まさか。そこまでは私も言っていない。ただ無下に追い返したりするなと言っているんだ。相手は歴史ある大国だ。ましてや今の女王君の兄上なんだぞ。反面こちらはついこの間まで戦争し、立ち直っている最中の出来たてほやほやの国。あなたは人をあしらうのは得意だろう?」
「俺には翆がいるんだ。」
「翆様だって事情はお分かりですよ、ねえ?」

シュウはニッコリと翆を見た。

「・・・ああ・・・。・・・朱璃、僕なら気にするな・・・。」
「何言ってんだよ翆。」
「・・・大丈夫だから。朱璃、僕は疲れたし、もう休むよ。」

翆はニコッとして言った。
なんだかその笑顔が怖い朱璃。

結局そのままうやむやのままその日は終わった。

「あれ?どうしたの?なんか元気ないね?」

ファルーシュにそう言われ、朱璃は内心お前のせいだよ、とつっこんでいたがニッコリと返した。

「いや、そんな事はないよ。ところで今日はどう過ごす予定?」
「うーん、どうしようかなあ。それよりさあ・・・」
「?何?」
「そんなうそ臭い対応しなくていいよ。今だって絶対内心お前のせいだろくらい思ってただろ?そう言ってくれたらいいんだよ、ね?」

ニッコリ微笑んでファルーシュはそう言った。
朱璃はポカンと口を開けた。

「え?な、な、何で・・・」
「やだなあ、僕はこれでも小さい頃から仮面つけた貴族の中で育ってきたんだよ?そんなくらい気付けなくて今までやってこれる訳ないじゃない。ああ、どうせシュウ殿から適当にあしらえくらいに言われてるんでしょう。でも昨日みたく普通に接して欲しいなあ。」
「・・・あんたって・・・何か・・・。」
「あはは、結構食わせ者だろ?皆僕のこのポヤッとした女顔に騙されるんだよね。」

またニッコリとしてファルーシュが言った。
そう言えば彼も昔奪われた国を奪還した英雄なんだったよなと朱璃は考えていた。

「・・・あんた、思ったほど嫌な奴じゃないな。どっちかといえば悪い奴じゃない感じだ。」
「それはどうも。まあ僕としては悪い奴じゃないってよりも好きだと思ってもらいたいけどね。」
「・・・そりゃ無理だよ。俺が好きなのは翆だから。」
「あはは、今度はえらく正直だよね。まあその方が僕もいいけど。」

3人は歩きながら話していた。
まったく会話に入ってきていないがリオンはいつものようにファルーシュの後についている。

「・・・あんたさあ、どういうつもりだ?俺はすでに翆がいるんだよ?どうしたい訳?」
「うーん、そうだなあ。どうしたい、か。うーん、体を重ねてみたい気はあるなあ。って言ってもまあ確かにすでに僕は失恋状態だよね。でもさ、僕実は誰かを好きになるのって初めてに近いんだよね。」
「え!?ちょっと待て。あんた若く見えるけどもういい歳だろ?だって十年前のあの内乱の時で今の俺とたいして変わらない歳だったんじゃねえ?それなのに今まで好きな奴いなかったっての?」
「あはは、やっぱいいね、その物言い。真の紋章に属する紋章の関係か、僕達成長がどうも遅いみたいだけど確かにもう26歳だからね。で、好きな人の事だけどさ、うん、まあそうだね、1人位はいたかな?今思えばあの内乱の時が一番楽しい人が集まってた時なんだろうけど、その時はそんな気分にはなれなかったしなあ。その後は、うん、なんかね、僕を好いてくれる人っていうのは男女ともどもいてくれたんだけど・・・。」
「えーと、じゃあ、その、あのーど童貞・・・?」
「そうだって言ったらおもしろそうだけど、残念ながら違うんだよね、ごめんね。」
「いや・・・別に謝らなくても・・・。・・・あのーリオンさんの前でちょっと聞きにくいんだけどさあ?」
「ああ、お気になさらないで下さい。私のことは壁か何かと思っていただいたら。」
「・・・それは無いだろう、いくらなんでも・・・。まあいいや、じゃあ言うけど。好奇心で聞くんだけどさあ、もし俺とするってなったら、その・・・あんたはどっちな訳・・・?」
「何聞いてんだお前は」

いきなり後ろから突っ込みがはいり、朱璃は後頭部の攻撃をうけた。

「っ痛っ。・・・あ・・・翆・・・。あ、あは。えーと、ほら、なんか聞いてみたくなんない・・・?」
「なるかっ。」

翆の表情は、瞳は、ブリザードよりも寒かった。
朱璃は真っ青になって顔を引きつらせている。
ファルーシュだけはニッコリと翆に挨拶をした。

「やあ、おはよう、翆さん。」
「・・・わあ、何その空気の読まなさ?天真爛漫もここまでいくと凄いよね?」

朱璃が呟く。
翆は朱璃をギロッと睨んだあとため息をついてファルーシュの方を向いた。

「・・・おはよう・・・。」
「あはは、さすがに元気は、ないかあ。でもね、僕翆さんの事も友達として好きなんだけどなあ。」
「・・・それはどうも・・・。・・・朱璃、今日は・・・ファルーシュ殿を案内して差し上げろとの、シュウ殿からの伝言だ・・・。」

翆は相変わらず北極のような寒い表情で言った。
朱璃は内心シュウに毒づいた。
なぜわざわざ翆に伝言を頼む?

「わあ、それは嬉しいね。」

ファルーシュは相変わらず能天気にニッコリと言った。
こいつ、ある意味大物だ・・・朱璃は呆れつつも感心した。

「じゃ・・・伝えたから・・・僕はこれで・・・」
「あー、翆?その、一緒に・・・」
「いや、僕はもともと今日は今から兵の訓練をする日だから・・・。お2・・・3人でどうぞ。」

そう言うと翆はプイと行ってしまった。
・・・あれ怒ってるよね?つーかヤキモチ妬いてるよね?
そういえば案外翆はヤキモチ妬きだったような・・・。

朱璃はそう考え、嬉しいのか悲しいのか怖いのか分からない気分だった。

「じゃあ、行こうか?」

ファルーシュは朱璃の腕をつかんでニッコリと言った。
作品名:朱璃・翆 作家名:かなみ