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朱璃・翆

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refusal



「翆か?あいつなー、さっきまでここにいたんだけどなあ。」

翆を探して訓練所まで来た。

そこにいたビクトールに聞くと、そう言われた。
分かった、と訓練所を出ようとした時、周りにいた兵達がたまには手合わせをお願い出来ないかと言ってきた。

・・・翆を探してんだけど・・・でも、まあいいか。
かわいい俺の兵隊達のたっての頼みだし?
俺も久々に体動かしたいところだ。これは多分欲求不満だな。
ふふ、何をしても満たされないと思いつつもたいした欲求すら沸かなかった俺が、何かを欲して仕方がないと思うとは・・・。
俺はニッコリ笑って”いいよ”と答えた。そんな事でこいつらは大喜びだ。ちょろいもんだな?


「・・・参りました・・・。」

もう何人相手したか分からない。
でも俺の息は全然乱れない。
おいおい、もうちょっと骨のある奴はいないのか?
かといってビクトールやフリックを相手にするのもな。あいつらの沽券に関わる羽目になるだろうしな?
これは俺の思いやりってもんだ。なのにこの力バカはやる気満々だ。

「よぉし、次は俺な?」
「やあー、もう僕も疲れちゃったし、ビクトールさんには敵いませんよぉー?」
「嘘こけ。全然息上がってねえじゃねえか。だいたい正直俺だってお前に敵う気しねえってんだよ。」

・・・ビクトール・・・お前には部下の手前、沽券やプライドってものは持ち合わせてないのか・・・?
せっかくこっちが遠慮してやってるってのに?
お前は図体のデカイ大人なんだぜ?
俺はほんの16歳(位?正直自分の歳分からないからな)で、しかもこんなに華奢なんだからさあ?負けたらマズイだろーがまったく・・・。

俺は密かにため息をついた。
その点フリックはまだ働かす頭はあったようだ。

「おい、止めとけビクトール。何人もの相手をした後のこいつとやり合って負けたとなっては情けなさすぎるぞ?せめて今度にしろよ。」

冗談ぽく言ってはいるが、正論だ。
それでも不満そうなビクトールはちょっと体鍛えるまえに頭鍛えてもらった方が良いな?

「どうぞ。」

兵の1人が冷たい飲み物を持ってきてくれた。
ありがとうとニッコリ微笑んで受け取ると、その兵は顔を真っ赤にして何かごにょごにょ言って退いた。
普通はこういう反応なんだよな?
なのにあの翆は全然騙されない。
だからこそ興味を持った訳だけど、たまにはこんな反応見せてくれても嬉しいけどな。たまには、ね?
俺は隅に座って飲み物を飲んだ。
ビクトールとフリックも隣に座って休憩しだした。ビクトールが聞いてきた。

「そーいや翆探してたみたいだけどよ?何の用だったんだ?」
「え?ああ、一緒にお茶しようかと思って。」
「お前、まめだなー。そーいや翆は自分のものだって触れ回ってたみたいだな?なんかの遊びか?」
「やだなー、違いますよぉ?ほんと翆さんは僕のものなんですって。」

かわいらしく笑って、そう言ってやった。
2人とも俺の台詞がしっくりこないようだ。
周りの反応を見ていると、どうやら俺は誰かをものにするよりも誰かのものになる方がぴったりくると思われているようだ。
まあ、俺はこんなに可愛いし?それも仕方ないけどもね。

でもあの翆だってあんなに綺麗なんだ、どっちかと言えばものになる方が似合うんじゃないかと思うんだがな?
だいたいそうしたいと狙っていた奴が沢山いるのを俺は知っているし。だからこそ、先手必勝とばかりに触れ回ってんだからな。
闇でそういう奴らを葬ってもいいが、俺の見た目キャラじゃないしね?

「朱璃様、あのう、良かったらこれもどうぞ・・・」
「お、俺のタオル、つ、使って下さい!!」

座ってるとさっきまでへばっていた奴らが復活したのか、わらわらと寄ってきた。
飲み物やらタオルやら何やかんやと持ってきたり挙句の果てにはマッサージをすると言い合って牽制しあう始末。
フリックが呆れて、もう止せと言っているが誰も聞きやしない。
俺はといえば満面の笑顔で対応(適当にあしらうとも言う)していた。

そこに翆がやってきた。

「ビクトール、ここに僕はタオルを忘れていっていなかったか・・・?」

そう言って入ってきた。
そして皆が俺をもみくちゃにせんばかりの光景に気付いたようだ。

「お?さあ・・・あ、これか?ほらよ。」

ビクトールがタオルに気付いてそれを投げて渡していた。
それを受け取った翆はチラッと俺の方を見た後、”じゃ・・・。”と言って出て行った。
おいおい、なんだよ、ほぼ無視か?

いくら俺が勝手にモノ扱いしてるからって、それはないんじゃないの?
あんなに美味しく俺の作ったお菓子食べてるくせに、今のは冷たすぎないか?

俺は立ち上がった。

「皆、色々気を使ってくれてありがとぉ。でも僕、翆さん追っかけたいんで、ごめんね?失礼させてもらいます。」

そう言ってニッコリ笑ってやってから俺は訓練所を出ていった。
後ろでは残念がっている声が聞こえてきたけど、悪いな、そもそも俺は翆しか興味ないんでね?
作品名:朱璃・翆 作家名:かなみ