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【テニプリ】温泉に行こう!

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「あぁ。週に一度、恩師の知り合いのテニスクラブでコーチをしている」
「…肩は大丈夫なのかよ?」
「左でも軽く打つ程度なら問題ない。右も使えるしな」
「…なら、いいけどよ。あんま、無理すんなよな」
手塚の壊れた左肩。壊れた原因は跡部だけの所為ではなかったが、一因にはなった。しかし、あの試合で手を抜いていれば、今、こううして手塚とのんびり風呂になど入っていられなかっただろう。
「…あぁ」
手塚は左肩を撫でるように手のひらを滑らせると、跡部を見やった。
「…来週、金曜日がバイトの日なんだが…」
「おう」
「練習の後、コートが暫く空く…」
「だから、何だよ?」
「久しぶりに、打たないか?」
「…いいぜ」
結局、手塚と自分が長く続いているのは、一にも二にも、テニスがあるからか…。頷いて、跡部はニヤリと笑った。








「…先に上がるぜ」

「…そうか?俺はもう少し浸かってる。バックの中にお茶を詰めてきたポットが入ってるから飲んでもいいぞ」
「…ん……」
久方ぶりにまったりとした時間を過ごし、長湯し過ぎた。頭がぼぅとする。跡部は上がると備え付けらしいバスタオルを使い、人心地つくと小さく溜息を吐いた。
(…越前もよくあんな天然と付き合ってられるよな。感心するぜ)
手塚との付き合いは越前が手塚と交際している時間より長い。長いからこそ、はっきり言って、恋人にはしたくない。
(…昔から世話の焼ける奴だったよなぁ…)
今はあぁだが、手塚の小さい頃は可愛かったのだ。ぽやっとしてて、ちょうちょを追い掛けて、迷子になるようなちょっと頼りない感じだったのだが…それを、俺様がしっかりして、手を握っててやらねぇとと思っていたのに、いつの間にか手塚は自分の手ではなく、リョーマの手を取っていた。それに一抹の寂しさはあったものの、今や、リョーマからも頼られ、手塚は相変わらずで、寂しさなど感じている暇もない。
(俺様も大概、人がいいぜ…)
跡部は思いながら、着替えを済ませるとちゃぶ台の前に腰を下ろした。
(…ま、庶民の風呂も悪くなかったぜ…)
手塚のバックからポットを取り出し、麦茶らしいお茶をカップに注ぎ、跡部は一息吐く。
(…樺地と一緒に今度、来るか…)
ごろりと寝転がる。いぐさの柔らかい匂いが鼻腔を擽る。畳に跡部が懐いていると、カラリと引き戸が開いた。
「行儀が悪いぞ、跡部」
「うるせぇよ」