For one Reason
今仕事中なので邪魔しないでください、とぶっきらぼうに返した彼からLに視線を移し、真紀はん〜?と意味ありげな顔で覗き込む。
「りゅーぅざっき君」
「・・・・・・真紀さん、この資料ですけど」
「はいはい。後でね」
ぺすぺすと頭を紙の束で叩かれて、Lはむすりとした表情で仕事に戻る。
真紀はくるりきびすを返すと、部屋の隅に立っていたワタリの前に行く。
「ワタリさん」
「はい、なんでしょう」
「あの二人の監視カメラ、昨日の分、見せてもらえる?」
「・・・」
何かあったんでしょう? と微笑まれてワタリは無言で空を仰ぐ。
Lと月の使う寝室にも、カメラは仕込んであった。月にはそのことを言ってはいない。Lが寝ている間の月の行動を監視するために、それは必須だった。
その映像を今朝方チェックしていて、一人胸に抱えるのにあんまりなものを見てしまったので、看破されて少しだけうれしかった。
少しだけだが。
「では、こちらへ」
「オッケィ」
そういえば印刷もできたわね〜♪ と考えながら真紀は部屋を出て行った。
作品名:For one Reason 作家名:亜沙木