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みとなんこ@紺
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Doubt

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思いのほか派手な音が辺りに響き渡ったので、2人は思わず茂みに身を隠すのも忘れて、背後を振り返った。

あの、すいません。何か、手榴弾でも爆発したみたいな音だったんですけど。

誰にともなく謝りたくなって、ハボックは役割分担ミスったかな、と視線を遠くに投げた。いやむしろ、いっそ色々投げてしまいたくなった。
どうしよう。自分が屋敷のほう行って陽動やったほうが良かったかも。
隣で固まっている弟も、どうやら心境は同じようなものらしい。
どのくらい沈黙が続いたか、
「・・・兄さんは、隠密行動は出来ないんですけど・・・」
ぽそり、と小さな声の呟きが届いた。
「ああ・・・」
「・・・陽動とか遊撃は、結構得意だと思うんですよ」
でも
「・・・何故か最終的に大事になっちゃうというか・・・人目は、すっごい集まるんですよね・・・色々やること派手だから」
「・・・・・・あんまり大事になりすぎるのも、陽動にゃーならねぇんだがなー・・・」



わー、引火したー
火を消せー
あっちだー
そっちだー



とか。

何だか、遠いところで何やらすごい事になってきたのが聞こえてくる。
ついでに、上の方から転げるようにして数人の男が駈けてきた。・・・そりゃまぁ、あの音聞いたら普通様子を見には来るだろう。しかも慌てているのか、男達はほど近くにいるこちらには誰も気付いてくれなかった。
・・・お取り込み中の所、それどころじゃないようなので。

「・・・行くか」
色々何だか複雑な心境ではあったが、もうここでボサっとしているのも何なので、ハボックは気を取り直して首を鳴らすと頭を掻いて立ち上がった。
「・・・ハボック少尉・・・」
アルフォンスはちょっと黒っぽくなっている煙が立ち上る屋敷の方を見つめながら、微妙に回復出来ていないらしい。
「ボクたち、放火犯とかで捕まっちゃったらどうしよう・・・」
「・・・あー・・・」
何か、向こうの方からちょっとあったかくなってきたなー。ついでにこの焦げ臭い臭い何だろう、とか。
何も見ない、知らない、関係ない。
・・・屋敷の方からぴょこぴょこと跳ねる金色の頭が近付いてくるのが遠くに見える。
(ちょっとばかり派手だったが)陽動としては充分だったし、揚々の凱旋だろう。
「・・・・・・大佐だったら何とかしてくれるだろ」
兄弟には異常に甘い上官の事だし、そもそも今回のコトの原因と言えなくもない。それに上司は部下のした事の責任を取るためにその席にいるのだ、ということで。
兄さんってどーしてこう色々…とか何とか、ブツブツと呟いているアルフォンスの肩を宥めるようにポンポン、と叩いて注意を促す。
折角兄貴が(必要以上に)奮闘してくれたのだから。
結果、見張りの大半を下に集めた訳だし、良しとするってことで。

そうこうしている間に追いついてきたエドワードは、てっきり先に行っていると思っていた2人と何故か合流してしまった。
「あれ、どーしたんだよ2人とも。大佐は?」
「あーうん・・・」
「・・・兄さん。アレ、何したのさ・・・」
「へっ?」
でろん、とした黒い雲を背負うアルフォンスにゆらりと詰め寄られ、エドワードはえーと、と視線を泳がせた。
「べ、別にたいしたことはしてねーよ。ちょっと発煙筒をだな・・・」
・・・やりすぎた感はあるらしい。
「発煙筒があんな爆発するわけないでしょ!?」
「ちょっとでっかい音がしてちょっと普通より煙が多いだけだ!」
「うっそ!絶っ対兄さん何か間違えたでしょ!」
「間違ってねぇよ!ちょっと火薬の量多いかもなーとは思ったけど!」

「むしろそこがまずいんじゃないのか」

「―――大佐!?」
物凄くナチュラルに会話(というか兄弟喧嘩)に参加した声に、3人ともが一斉に振り返った。
いつからそこにいたのか、呆れたような面持ちで佇んでいたのは、今回の標的ご本人様で。


「おお、そういや忘れてた!」


「・・・何の為にあんな派手なデモンストレーションしたのかね」
ごもっとも。
不機嫌そうにしてはいるが、ざっと様子を見るに、怪我とかはなさそうだし、血色も良し。何か発火布が装着済みということは、さっきの小屋で誰かが火蜥蜴の餌食にされたんだろうが、特に問題なし。
良かった、中尉に怒られずにすみそう。
「上に2人」
「焦げてませんよね」
「ミディアムレアくらいかな」
大佐が平然と返したそれがどの程度のレベルなのかは判らなかったが、ハボックがちょっと気の毒そうな顔をしたので、察するにまずは病院送りにされるのかもしれない。ちょっと可哀想、とか思ってしまったが、自業自得、というか運が悪かったと言うか。
喧嘩を売る時は、相手を選べという良い教訓になっただろう。・・・高い授業料だったろうが。



まったく。
「…外がうるさくなってきたから、そろそろかと思って出てきたんだが。何を遊んでるのかね、君たちは」
ぶちぶち零す上官に対する各自それぞれの言い分は以下の通り。
「さっきのアレ、役に立ったからいーじゃん」
「兄さん、そこ胸張らない。すいません、大佐」
「すんません。オレには荷が勝ちすぎで」
「一人反省のはの字もないのがいるな・・・」
いつの間にか結局はいつもとかわらないノリのやり取りになっていて、アルフォンスは小さく笑ってしまった。
「そういえば何で君たちまで来てるんだね、鋼の」
「何だよその言い方。こっちは大佐が妙な事に巻き込まれたとかいうからさ、わざわざこの後の予定変更してまで来てやったんだぜ」
「アルフォンス君」
「ネタ切れで、たまたま情報収集にイーストシティに寄ろうとしたんです。で、中尉に話を聞いて面白がった兄さんが行くって聞かなくて」
「ほう」
「ちょっと待て! 歪んだ注釈入りすぎだろ!?」
「そうかな。だいたいこんな物だったと思うけど」
さっくりと兄を売った弟は、先程のあれを根に持っているらしい。それから徐々に全然関係のないネタの言い合いに発展しだした兄弟を余所に、ハボックはひとつ息を付いた。

「まぁ実際の所、大将たち来てくれて助かりましたよ。オレ、フクロにされるところだったらしいんで」
何だそれはと目線で聞いてくるので、ざっと今までの経緯を話せば、ふん、と鼻で笑われた。
「あんな程度の連中にのされたらノシつけて中央に叩き返してやる」
「勘弁して下さい。あんなしごきもー無理ですから」
第一、ほんと誰が原因でこうなったというのか。
そう言ったところで、私も被害者だ、とか何とか開き直られるのがオチだというのは判るので、もうこれ以上は言わないけれど。
「ところで何でさっさと山降りないんですか?」
「さっさと帰るつもりだったさ。無断欠勤したら中尉に撃たれるし」
だが、そうしたらだな、実は一つ問題が発生していて。
なんて言われて、ただで終わった例しはない。知らず身構えたハボックに背を向けると、彼はいまだ何だかんだともめているエルリック兄弟の方へと向き直った。
「君たちに協力願いたい事があるのだが」
くる、といきなり話を振られた兄弟は、それまでの流れをぶっちぎられて、揃って首を傾げた。
「あとはさっさとズラかって、親玉ぶちのめすだけじゃねぇの?」
作品名:Doubt 作家名:みとなんこ@紺