Doubt
何を盛り上がってるのか、良いテンションのおっさんに激しく背を叩かれるままに、ハボックはよろりとよろめいた。
上司の行動パターンは長い付き合いの中、結構知っているはずだが、ホントあの対女性陣へのマメさは並みでない。ちょっとは他に向けりゃいいのに。
ずどーんと襲ってきたその脱力感に、がっくりと肩を落としてハボックは力無く頭を振った。
「・・・おやっさん。あの人さー、ここで飯食った?」
「いや?どっかで食ってきたって言ってたな」
「そっか。じゃ、オレもちょっと出てくる」
部屋を出て、薄い財布を尻ポケットに突っ込むと、手荷物を部屋に放り込んだ。
「うちのかみさんの料理は美味いぜ。特に煮込み料理は絶品だ。兄ちゃんも帰っちまう前に食ってってくれよ」
階段を下りつつ、付いてきた店主が売り込みをかけてくるのに、ハボックはくるりと振り返って問うた。
「この辺酒美味い?」
「東部一の地ビールがあるぜ」
「楽しみにしとく」
無事見っけたら奢ってもらう事決定で。