涼宮ハルヒの戦国バサラ2
「なんで、倒された敵が小判になるのよ?」
そんなの知るか、ゲームデザイナーか、関係者にでも聞いてくれ。
「で、BASARA技って必殺技っていうのがあるのね。」
出すまで大変だったが、要領さえつかんでしまえば、何とか使いこなした。
「戦国時代に一人の人間で、こんなに倒せないじゃないの。」
ハルヒにしては、もっともな意見だが、それじゃゲームにならんだろう。
そんな感じで、数日キャラデザのことやら、ゲームに関する質問を、答える毎日だった。ただ驚くべきことにゲームの進行速度が俺より早いことを驚かせた。
「ねえ、武田信玄と真田幸村の対決ってないの?」
下克上でもしたいのか。
「伊達と毛利は?」
領地が、遠いいだろが。
確かこいつ日本史も余裕のはず、丸暗記にしろゲームと史実との矛盾くらいわかっているくせにわかりきった事を聞くな。
しかし、それにもかかわらず、朝遅れることなくいつものように学校に着いて、SOS団にもしっかり出ている。
こいつは、いったい何時間勉強してるのかね。伝説のゲーマーにして同人誌会の出世ジンクス、または某ア○メイ○の福の神カリスマ少女A、みたいに全て一夜漬けってわけでもないだろうに、その要領の良さがうらやましいね。
ま、そんな会話が、一週間続いて、俺の手元にソフトが帰ってきた。
「なかなか面白かったわよ。」
「飽きたのか?」
「はあ、何言ってんの、全キャラクリアーしたわよ。」
おいおい、俺でさえ、一ヶ月かかったというのにそれを一週間で全キャラクリアーってお前絶対おかしいぞ。
「そう?でもなかなか面白かったわよ。」
おれは、このときハルヒのハルヒたる所以を見た気がした。
まさか、ゲーム時間だけを無限ループ状にして時間軸そのものに干渉したんじゃないだろうな。そんなことが、可能なだけにハルヒの力は「天地創造」並みにあるのだが、自覚がまったくないので恐ろしいのだ。
放課後、部活の時間の中、朝比奈さんの入れてくれるお茶をすすり、まったりとSOS団の部活と呼べるのか、呼べないのかわからない活動をしていた。
そして、おれは、もう一つのハルヒたる所以をその日に中に感じなければならなかった。
「まあ本当は禁則事項なのですが多少の時間の歪みが生じましたが、修正可能域でした。」
やっていたらしい。
朝比奈さんはそう教えてくれると、その修正作業で疲れたのか、給仕道具のそばのパイプイスでウトウトとし、長門はいつもの定位置で、ブ厚い本を読んでいた。ハルヒは、どっかのホームページにアクセスして、しきりに何かの記事を読みふけっていた。俺はと言うと古泉とガンダムのカードゲームのリベンジをうけていた。
ま、平和が一番だ。どっかの誰かさんが、何かしでかさなければね。
「今日の涼宮さんは、機嫌が良いですね。」
脅威の速さで、クリアーしたからな。俺に勝って機嫌が良いのだろうさ。
「それだけでしょうか?」
「まだ何か、あるのか?」
古泉は、ため息混じりに俺を見た。
少しむっとした。
「いえ、深い意味はありません、気に障りましたら謝ります。」
少しおいていつものスマイルもどった。
「ただ、あなたからゲームを借りて遊ぶ、なんてなかったから嬉かったのでしょう。」
「そんなの、小学生や、中学生では、当たり前のことだろ。」
「いえ、あなたからだから嬉しかったのでしょう。」
「なぜ、俺からだと嬉しいんだかわからんが、」
俺には、古泉のいつものスマイルが一時とまったように思えた。
「本気で、言っているのだから、手に負えませんね。」
正直、ハルヒがただの元気少女で、俺たちがただの被害者集団なら春の過ちを正当なものとして受け止められるかもしれないが、まだそんなに気になることがないと言うのが持論だ。台風に手を入れる度胸の有る奴をまだ知らないからな。
「そもそも、涼宮さんにとって、TVゲームが面白かったことってあまりなかったと思います。」
あいつの、反射神経くらいあれば、シューティング系は、得意だと思うが。
「だからです。「何故、こんな苦にもならないものが、面白いのか?。」という疑問があった。」
確かに要領が良く、宿題だって簡単にこなしてしまうハルヒには、あるかもしれん。
「そして、その疑問を答えてくれたのが、あなただとしたらどうです。」
SOS団メンバーの突飛な話は古泉だけじゃあないだけに慣れてしまったが、俺はただ、この一週間ハルヒのゲーム話に付き合ってやっただけだぞ。それのどこが答えなのだろうか。
「ま、涼宮さんも気が付いていないだけかもしれませんが、それが、涼宮さんの欲しかった答えなのでしょうね。」
いつもの、スマイルで、古泉は、アタックを宣言した。くそ、こちらが某○ガン○ム生産できないのおいいことに、量産型○○で削ってきやがった。
その日の部活も、とどこうりなく、終了し帰宅すると妹に早速、ソフトを渡す。喜びながらシャミセンと一緒にPS2のある茶の間に向かって走っていった。
その日、夕飯を平らげ、いつものようにして過ごした。ゲームは妹が占領中なのでやりたくもない勉強をするために、勉強机に向かいゲーム熱中している時、遅れがちだった時間を戻して、風呂に入りベットに入る。すでに、シャミセンがおれの部屋で睡眠をむさぼっていた。
妹はまだゲームをしていたらしく母に怒られ、すごすごごと茶の間から、退散していったようだ。
そしてどうしてか知らないが、ハルヒの世界にまたとばされていくのだ。
「さあキョン、もうすぐ桶狭間につくは、覚悟はいい?」
気が付いたらそこには、今にも泣きそうな、なまめかしい「濃姫」の格好をした、朝比奈さん。
長髪や大鎌状の武器が、妙に似合っている「明智光秀」の古泉一樹。
ショートのヘアースタイルがとても違和感なくフィットしている、「森蘭丸」の長門有希。
そして自分は何かというと頭の羽飾りをし、何故か肩に猿ならぬシャミセンを乗せ朱槍、超刀をもった「前田慶次」。
真前列には性格がそのまま反映されてか、それとも野望に忠実なのか知らんが、「織田信長」の格好の涼宮ハルヒがそこにいた。
なんで、SOS団メンバー全員が、戦国BASARA2の格好しているのだ。朝比奈さんに飽き足らず、俺たちまでこんなかっこうさせて、冬のオタクたちの大祭まで、制覇する気なのか?。さらに疑問は、旗には寛永通銭でも五つ桑原花でもなく、SOS団エンブレムがされていたことと馬に乗るスキルを持っていない、おれが何故馬に乗って移動しているかは、解らないが判例からいって十中八苦ハルヒの仕業に違いなかった。
「キョンくん大変なのです。禁則事項なのです。どうしたらいいのでしょう。このままいけば、大変な禁則事項で、禁則事項なのです。」
朝比奈さん、Y談で放送禁止用語を○で消すみたいに「禁則事項」を連発しているみたいで、全然わからないですよ、仕方がないので、解説可能な明智もとい古泉に、聞いてみた。
作品名:涼宮ハルヒの戦国バサラ2 作家名:旅する者