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夢を見るヒト

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「ホラ、何時まで寝てるんです。起きてください」
 ぷみ、と音まで鳴らしジャンの鼻を摘む。鼻水が出ているようだ。免疫機能は正常。後で風邪薬を処方しておこうと心に思う。
 薄目が開いてしばらくぼんやりと空中を眺める。寝るときに掛けていなかったはずのブランケットが身体に掛かっているのと、何者かに鼻を摘まれているのにようやく気付いたのだろう。不審げに視線がさまよう。視線が合った瞬間、思い切り馬鹿なものを見る視線で見ていたのだろう。急に意識が覚醒したらしく、目を見開いて『んぅあ?』などと出す声は勿論鼻に掛かっていて間抜けだ。
「あれ、なんで高松がいんの?」
 手を離してその腕をそのまま組む。下を眺める視線は酷く馬鹿にしている、という確固たる意志が篭もっている。そのままの体勢で居ると、ジャンに腕を払われ、大人しく鼻を摘んでいた指を離す。全く、恩を売りにやってきてやったと言うにこの態度は一体なんだ。肩を聳やかしながら溜息を吐いた。
「そろそろ夕飯です。っつってもアナタ此処で食べるつもりでしょうから、わざわざ持ってきて上げたんですよ。感謝してください」
 ポカン、阿呆口を開けて高松を見る事数秒。脳の中まで情報が行き渡ったのだろう。ジャンは思い切り、それこそ苦虫でも噛んだような、或いは、ベタベタに甘いココアに更に砂糖を足すような人間を見た時のような表情を見せる。
「…お前が優しいと気持ち悪い…」
 一度起きあがり掛けた身体をもう一度深く長椅子に沈める。高松の顔を見ないようにそっぽを向いて遠い目をした。高松が優しいとロクな目に遭った事がない。それはガンマ団員ならば誰もが常識のように持っている認識であって、ジャンが決して新開発の栄養剤をたらふく飲まされて逆に体調不良を起こした事があるとか、そういう過去は関係無い。… 心情としては、その過去は確かに影響を及ぼしているかも知れないが。
「何かに夢中になってると何も喰わなくなるからですよ。サービスの留守中、アナタの世話を頼まれてるんです」
 放っておいて飢え死にでもされたら、本気でサービスに殺されてしまう。首を傾けて半眼でジャンを見下ろす。其処に茶化している様子はなくジャンは欠伸とも溜息とも取れない吐息を吐いた。暖房を入れたばかりの部屋はまだ若干冷たく、息が白く残った。
「誰に…って、サービスか…」
 くぁあ
作品名:夢を見るヒト 作家名:nkn