二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

空の境界~未来への奇跡~1

INDEX|3ページ/5ページ|

次のページ前のページ
 

自分が、あれ程欲した物なのに今目の前には、分岐点が存在し「それしかない。」と信じていた自分を悩ませている。

「改めて聞くが、黒桐大輔はそんなに軽い男なのか?」
「僕も兄さんと付き合い長いですけど、未だ一度も結婚話を聞いたためしがありません。いつも、その事で伯母さんが、やきもきして見合いの話を持ってきては、「仕事が忙しい。」の一言で兄さん一蹴するのですよ。」
「そうか」

社長は、またしばらく指輪の入ったケースを眺めていた。僕は何か引っ掛る疑問を感じある事を聞くことにした。

「失礼ではなければ、ダイヤの大きさとか教えてもらえませんか。」
「別に構わん。」

そういって、ケースに何か呟くと僕に投げてよこした。
あわててキャッチして蓋を開けた。眉間に皴を寄せて、ダイヤを眺めると蓋を閉じて、棟子さんの机まで持ってきた。

「兄さんは、棟子さんの事は、本気かもしれませんよ。」
「ほう、何故だ?」
「兄さんの性格上、休日捜査当たり前で、おまけに自分の休暇、給料削って捜査するような人です。それで、よく家に救援物資を求めにくる様な人が、そんな高価なものが、手に入るはず無いからです。それに、これ祖母が死んだとき、「大輔が本当に好きな女性ができたら、これを使いなさい。」と正式に相続したものですよ。」

棟子さんは、

「そうか。」

と言ってそのまま、再びケースを眺めていた。棟子さんもおそらく、気が付いていたのだと思った。贈られたダイヤが、相当な額である事を。だから、魔術師である自分と、あちら側にいる兄さんの間にある物をどう向き合えば良いのか、無意識に考えていたのだと思った。
結局その日は、事務所に式は来ず鮮花さえも来る事は無く、ただの事務処理をする音だけが、そこにはあった。


〜過去から未来への「私」〜


私は、昨日の夜から、モヤモヤした気分のままで、夜を過した。そういうのも、あの男があんなことをされたせいである。
そのモヤモヤを晴らすのに、裏道の悪漢どもを蹴散らそうと考えたが、そんな事をすれば本当に殺しかねない程、制御を利かす自信がなかった。もし、間違って絡まれでもしたら、と考えタクシーを拾い何とか家に着いた。夕飯は兄の姿がなかったので、三人で食した。何を言われたたのか、殆ど上の空だったが母さんの

「黒桐幹也君だっけよさそうな、彼氏じゃない。」

の一言で、飲んでいた味噌汁を食道から気管支に移動させてしまい咳き込んでしまった。いったい何を勘違いしたのか解らないがそんな、関係になっていない。さっきのこともあって確かにあいつの事を考えると、頬が熱くなることも解る。しかし、「彼氏」と言うほど軽い関係ではないような気がする。

「あら違った?」

母さんの間違えにどう切り替えして良いのか全然思いつかず、ただ黙々と夕食をとる事にした。
部屋に戻ってというべきか、いまいち未だ実感の湧かない自分の部屋に入りこのモヤモヤ落着かせようとしたのだが、夕食のこともあって落着かない。一人になると逆にあの強烈な口付けを思い出してしまう。そういえば、まだ病院に入院する前、幹也は外で自分を監視していたっけ。障子の向こうにあるガラスに近づき、何時も自分を見張っていた幹也のいた所を見てみた。何を期待していたのだろう、

「もうそこに幹也はいないのに」

と、頭では解っているのにまだいるのではないかと、期待さえしてしまう自分がいる。それは、女の「式」なのだろうか男の「識(しき)」なのだろうかまったく解らなかった。ああ考えれば考えるほど幹也にはまっていく自分がいる。

「とりあえず寝て明日考えよう。」

そう考え、フロに入り寝ることにした。しかし布団に入っても、寝付くことができずいたかつて入院する前も勝手やつだった。そんな彼だったからこそ、「式」も「識」も好きだったのだと改めて実感した。
結局、その夜は寝付くことができなかった。

「朝の稽古でこのモヤモヤとした気分を晴らそう。」

と少し早めに道場に上がるとすでに親父が準備をしていた。

「稽古の相手がいなくて困っていたからな。」
「よく言う。」

そういうと、お互い対峙するとお互いの刀を抜いた。
そして蹲踞から、立ち上がると試合開始だ。本当は刀を抜いた時点で殺し合いなのだが、これは、あくまで稽古だ。そして自分は、親父に勝った事がなかったが今はどうだろう。思い切りやってみるか。
上段からの振り下ろしを親父はかわした。すると逆胴を狙ってきた。辛うじて弾いたが体制が変わってない。いや明らかにけはいが何度となく感じた、殺気に変わっていた。どうやら血は、争えないらしい。ならこちらも、それに答えなければならないと感じた。
殺す気でやる。それしかなかった。

「魔眼を発動させ死線を切る。」

に切り替えた。そしてお互い、激しい斬檄が繰り返された。親父は死線が見えない物の長年の経験で知りえていた。そして三十分くらい斬り合いの中、親父に隙ができたのを見逃さなかった。しかし親父の死線では無く、刀の死線を切った。しかし親父の反射神経もまだ錆付いてなかった。武器折の技を咄嗟に繰り出し、ほとんど同時にお互いの刀が真っ二つになり折れた刃が、お互いの後ろの床に刺さった。

「腕を上げたな式よ。」
「老いたな親父。」

自分が知っている限り親父の動きは速く、追い付くのがやっとだったのだ。
しかし、この稽古中の動きは記憶の中の速さより遅い気がした。「記憶は改竄される物」そんな事、棟子が言っていたと思った。そうかもしれないが、十分な運動にはなった。
道場から出ると、記憶に有ように習慣に成っていた朝風呂に入るための着替えを、秋隆が準備していた。もう忘れたと思っていた習慣もその場に成ると、自然に出てしまうものでそれを受け取ると風呂場へ向かっていた。汗を流し兄貴不在の食卓に着いた。
ここまでは、記憶道理だったのだが、ここからが問題だった。
 親父がいきなり話し始めた。

「式よ。大学進学の件はお前の学力で十分だろうし、常にあの刑事の従弟が一緒なら、間違いって、人を殺める事はもうないだろう。」

そして何か意を決したように真剣な顔つきになった。

「そこで、大学卒業後はあの小僧と一緒になり、この両儀家を継ぐ事が条件だ。」

口に含んだ、味噌汁が噴水のように逆流した。

「な、何でそうなる。」

毎度自分が、両儀家後継者と言われ続けてきたが、それは「識」か兄貴であると考えていた。

「そもそも、兄貴はどうした。」
「両儀家にとって不要故、養子に出した。」
「だったら、」

すると、親父は母さんを見て改めてこちらに視線を戻した。

「別に、お前一人で継げるなどと、高慢な考えていたのではあるまいな。」

今まで、跡取り、後継者といわれその気になっていたし、最悪そうなるだろうと思っていた。

「それこそ高慢で、お前の代でこの家の大願が成就したとしても、一人で継げるほどこの両儀の家は軽くないわ。」
「だからどうして、幹也なんだ。」

一番の疑問だ。ならどうして昨日殺気を幹也にぶっつけていた。