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空の境界~未来への奇跡~1

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「いままでの事はあの魔術師や、秋隆からも、人なりは聞いている。それを踏まえてわし等が、お前が、立派な頭首になるには、あやつが相応しいと考えたからだ。」
「フザケルナ〜」
「お前の為に考えた事だ。」
「少しは、人の気持ちも考えろ〜」

そういって、天下御免の卓袱台返しをして、家を出た。


結局式は事務所に来なかった。やはり昨日の事が効いたのだろうか。
正直、あんな事をして普通にこられてもどんな会話をしていいのか、逆に困ってしまうだろう。まだ実家にいて話が難航しているのかもしれないし、とりあえず一度自分の部屋に戻ってから、式の部屋に向かってみよう。
そして自分のアパートまで付くと、部屋に電気がついていることに気が付いた。

「鮮花か、また寮を抜け出してきたのか?」

そう思い、ドアを開けるとそこには、着物にエプロン姿の式がいた。

「お帰り、冷蔵庫の物勝手に使わせて貰ったぞ。」

その姿だけで、幹也の頭が真っ白になり、また新しい式の魅力に気付かされてしまった。

「いったいどうして、ここにいるの?」
「仕方ないだろ。どうせ部屋は秋隆が見張っているだろうし、他に行く当てもなかったのだから。」
「だからって・・・」

何故僕の部屋なのかという疑問は、やぼなように思えた。
どうしてそうなったかの、原因追求が先だ。
とりあえず、僕もお腹がすいていたので、二人で食べながら聞きだすことにした。


〜未来への道しるべ〜


私は、とりあえず大学進学の了解が出たものの条件付だったことを話した。勿論内容までは、恥かしくって言えなかった。ただ「終わったら、両儀家を継ぐ」ことが条件である事までしか答えなかった。そして朝卓袱台返しをして出てきたことも話した。

あれから私は、部屋に秋隆辺りが待ち構えているとふんでいた。勿論確証はないが、直感というやつだ。何度も戦場でお世話になっていた。だから、あえて幹也の部屋を選択した。
ちなみに秋隆も、私と幹也のお互い部屋の鍵を持っていることは、知らないはずだ。
周りに警戒しながら、この部屋にたどり着くのに結構かかり、出勤時間には間に合わなかったが、下手なホテルより居心地がよかった。幹也の匂いが自分を落ち着ける事がわかった。昨日まともに寝てない所為か、まだ少し幹也の暖かみの残るベットに横になるとそのまま睡魔に襲われた。何故かこの部屋で幹也が生活している事を思い浮かべると、ここちよかった。結果、起きたのが夕方で恐らくもうすぐ帰ってくるだろう幹也の、定時終了の時間だった。そして朝もまともに食していない、自分の空腹感もあいまって、ちょっと幹也を驚かすための悪戯を思いついた。
そして、鮮花が持ち込んだのであろう、ドレスエプロンを発見し台所へ向かった。


「それで、僕の夕食が豪華になったわけか。」

おそらく、三日分くらいしか冷蔵庫になかった食料が、純正の日本料理に変身したのは、嬉しくもあり、財布から弾圧魔の悲鳴が聞こえそうだった。

「まともな、食材が無かったから有り合わせで作ってやったからな。」

そもそも最近こっちも、色々あってまともな食事を食べていなかったぶんおいしくいただくことができた。

「それじゃあ残ったものは、ラップして冷蔵庫に戻して置くぞ。」

正直おいしくいただいたし、文句はなかった。あいつ等も美味しく料理されて、本望だっただろうし、美味しくいただけた自分が大満足だ。
そして、台所に立つ式も新鮮だった。空になった皿を洗っていた。こういうとき、満足感と何か新婚家庭にいる気分がするのは、自分だけだろうか。
もし本当に新婚家庭なら、式に嫌われていない。いや、嫌っていても自分は式を、見続けようと決めていた。なら、ちょっと餓鬼っぽいけど、正直憧れて一年以上待っていた行動をしたくなった。皿を洗っている式を後ろから抱きしめた。なにか言おうとしたが直ぐに唇を奪い言葉を封じた。本気になれば振り解けるのにそれもしないで、腕の中で式がおさまった。後のことは、僕が望んだとうりになったのだ。僕は式を本当に自分の物にしてしまった。


〜鮮花の悲鳴〜


鮮花は、本日が修行の日である事から学校を密かに抜け出し、師匠と愛する兄の待つ事務所にやってきた。
しかしそこに兄の姿はなかった。「黒桐なら、式の用事で本日は休みだぞ。」師匠たる棟子さんが教えてくれた。何故兄があの女の事で休みなのか。もしや、あの女に拉致されたのではないだろうか。そしてそのまま、無理やり結婚式に直行なんて事はないだろうか。不安の中踵を返し、部屋を出ようとすると扉が閉まり、鍵が掛かる音がした。

「鮮花お前には、少し聞きたいことがある。」

いつもと雰囲気が違っていた。どことなく落ち込んでいるというか、黒いオーラを纏ったみたいになっていた。

「お前、他人には魔法を見せるなという戒めを破ったようだな。」
「な、何のことかわかりませんが?」

いつもやる気が、有るのだか無いのだか解らない雰囲気ではなく、敵意を感じ戦慄した。

「じゃあ何故、大輔が私を魔術師だと気づいた?」

目の前に炎塊が現れた。返答しだいでは本当に焼き殺す気のようだ。

「大輔は、いっ一応血縁者だから、たっ他人には入らないと思いますが。」
「ほほう、正論だな。じゃ質問を変えよう。」

もうひとつ、炎塊が現れた。

「どうして、やつは私とお前が魔術師だと知っていた。」
「私は、だっ大輔に教えてはいません。」
「ほうでは、何故だ?大輔は、明らかに私とお前の関係を知っていたぞ。」
「大輔には、ただの「手品の師匠」としか言っていません。」
「ということは「手品」と称して「魔法」を大輔のいる前で使ったということか?」

もうひとつ炎の塊ができ、今度はすべての炎塊が宙にまった。

「はっはい。」
「詳しく話せ。」

まさかここまで、怒られるとは思っていなかった。



事は、式が目覚めて間もないある日のこと。お兄ちゃんが「式の回復記念」と称し兄の部屋で身内だけの鍋パーティーが行われた。お兄ちゃんは、家から勘当されているので身内と言っても私と大輔と式しかいなかった。お兄ちゃんは、もう一人の友達を呼んでいたらしいのだが、急なバイトが入って来られなくなったそうだ。
私は、鍋奉行をしているお兄ちゃんの為に仕込んできた、トリックで手品をして気を引こうとしたのだが、

「オレも何か一芸せねば、いけないかな。」
「式は接待される側なのだから、座っていてよ。」

お兄ちゃんの制止を振り切りまだ斬られていない大根を持ってきて、それを宙に上げナイフによる「短剣抜刀術」を行い神業をみせた。一口サイズになって鍋に落ちてきたのだ。これには大輔も驚いて感嘆の声をあげた。つい意地になって手品と称して

「掌で炎が踊ります。」

といって掌から炎を出して見せて、こけたふりをして式にぶっつけ様としたが、その炎の「死線」を斬られ消滅してしまった。事を察したお兄ちゃんに

「冗談じゃすまないぞ。」

と怒られてしまった。大輔からは

「すごいね〜誰から習ってるんだい。」

そう聞かれ、独学と言ったら、

「学校の勉強もせずに、そんな勉強をしているのでは叔父さんに報告しなきゃ。」