遠い音楽
3.恋
「イギリス、久しぶり!」
「おぉアメリカ。またでかくなったな」
日に日に成長していく、おれの体。
どうやらおれは、他の国よりも成長が早いみたいだ。
出会った頃からイギリスは何も変わらないのに、おれの背はぐんと高くなっていって、少しずつ声も低くなっていく。
力もつよくなって、もう一人で馬に乗って遠出も出来る。
イキリスが来ない間は、一人で勉強して、出来るだけ体を鍛えて。
もっと大きく。もっと強く。
大人になる道を全速力で走り抜けていくみたいだ。
「もうすぐイギリスの背越えたりして~♪」
「調子にのるな、ばかっ」
手を頭に伸ばして、キミと俺の身長差を測る。
キミの身長を越えるには、まだまだ足りないけど、
昨日より確実に縮まってる。キミに会うたび実感できる。
いつか、キミと肩を並べられる日を思うと、胸がドキドキするんだ。
「俺より背を高くして、どうするつもりだよ。俺元々そんな他の国に比べて背高い方じゃないから、なんの自慢にもなんねぇぞ」
あきれたようにキミが言う。
「いいんだよ、イギリスより高くなれれば、それで」
思い続けていれば、いつか星にだって手が届く。
キミとおれの距離だって、いつまでも同じじゃない。
イギリス、おれ、イギリスが好きだ。
いつか、きっとこの手をつなぐから。
だから、今はまだ、おれがキミに届くまで待ってて。
必ず、キミを守るヒーローに、おれがなってみせるから。