高校生って夢いっぱい
もう親友とも相棒とも呼んではいけないのだろうか。
今声をかけて何もなかったことにして一緒に帰ったら元通りになれるんだろうか。
今までみたいに一番近くにいれるんだろうか。
そんな思考のまま声を出そうとして止まった。
無理だ。なかったことにするのもこの感情を忘れることも誰かにとられるなんてのも全部嫌だ。
幸せ?そんなの、俺がお前にくれてやるんだよ!
「っ、月森!」
みっともなく裏返ってしまった呼び声に月森は振り返る。
表情はない。でもわかる。俺達は腐っても親友だ。
「俺、やっぱりお前のこと諦めない。なかったことになんてさせないし絶対幸せにする。だから…
安心して嫁いでこい!」
「誰が嫁になると言った」
即座の拒否も昨日みたいに落ち込まない。むしろ嬉しい。
あ、やっぱり訂正だ。
くれてやるって言ったけど俺、お前といるだけで世界一幸せなんだぜ!
満面の笑顔の俺を見て月森は目を細め溜め息をはく。
「やっぱり馬鹿か…」
聞こえてるよ万年一位。つーかテストと今は無関係!どっちかっつーと俺の事好きなくせに断るお前のが馬鹿だっつの!
勢いのまま声を出しながら月森の方に向かう。
一瞬月森が戸惑うように視線を動かしたから、逃げる前に腕を掴む。
「…、」
何か言おうとして、でも目を逸らす月森はいつもの皆のリーダーじゃない。
逸らした顔が微かに赤い気がして、俺は、
作品名:高校生って夢いっぱい 作家名:糾合