いずれ止む
―ガバッ―
「ハァッ、・・・ハァッ・・・・」
肩で息をする銀時。
「うわっ!どうしたんですか、銀さん?」
銀時が声のした方を見る。新八が洗濯物を干そうと運んでいる途中だった。ソファーにもたれた銀時が間を空けて答えた。
「・・・いや、なんでもねぇ」
額に汗を浮かべている銀時を見て、新八が首を傾げる。
「全然そんな風に見えないんですけど」
「銀ちゃん、悪夢でも見たアルか?ぷぷっ銀ちゃんそれは雷に怯えている証拠アルなぁ」
先ほどまで銀時が横たわっていたソファーの対となる、もう一方のソファーに座っている神楽。銀時を嘲笑っている。
「雷?」
銀時が窓に顔を向ける。窓に当たった雨が滝のように流れていく様子が見えた。だが、雷の音はしない。
「さっきまで凄い音で鳴ってましたよ。銀さん、よく寝ていられましたね」
「私、稲妻見たヨ!漫画みたいにジグザグしてて面白かったアル」
「・・・そうか。」
反応の薄い銀時に、新八と神楽は顔を見合わせた。そしてすぐに銀時に顔を向ける。
「夢で何があったか分かりませんけど、しっかりして下さい。ほら、ちゃんと立って!」
洗濯籠を床に置いた新八が銀時の背中を押した。渋々立ち上がる銀時に神楽から喝が入る。
「ほあちゃー!!」
「げほっ」
背中を強く叩かれた銀時が咳き込みつつ、勢いで一歩足を前に出した。
「ッてーな!!何しやがんだ!」
あまりに突然なことだったので銀時が怒りを露にした。それに対して新八と神楽は笑っている。
「・・・なんだよ、気持ち悪っ!」
銀時が口元を片手で押さえる。
「よかった、いつもの銀さんだ。」
「オメーの方が気持ち悪かったんだよ、ボケが。けっ」
「え、なんでいきなり荒んじゃったの?俺、なんか悪い事した?」
「新八ィ。」
神楽は銀時を叩いた手を新八の着物に擦り付けた。
「銀ちゃんの背中、汗でベトベトして気持ち悪いアル」
「なっ!」
新八は神楽の手から逃れるために腕を引っ込める。そして怒鳴り声を上げた。
「人の服で拭くなァァァァァ!!てか銀さんも!なんで鼻ほじってわざわざ僕の服で拭こうとしてるんですか!!汚ねーだろーがァァァァァ!!!!」
銀時は鼻をほじった手とは逆の手で耳をほじった。指を抜き、息でゴミを吹き飛ばす。
「うるせーぞ。・・・ぱっつぁんよォ、オレ風呂入ってくるわ。なーんかさっぱりしてーんだよな。あ、着替え頼むわ」
「着替えくらい自分で持ってけよ!・・・あ、ちょっと、銀さん!?」
怒る新八をよそに銀時は風呂場へと向かった。すぐにシャワーの音が聞こえる。
「神楽ちゃん、ああいう大人にはなっちゃダメだよ?」
「オメーに言われたくねーよ、ダメガネが」
「え、なんでそうなるの?」