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庭園と煙草

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引っ掛けている上着を大きくはためかせながら振り向かれる。なんだ気付いていたのかと溜息を吐いた。春や夏にはそれぞれの花の薫り漂う庭園だが、木々も眠りについているこの季節。ただ乾いたにおいと壁材のにおいが混ざり、冷たいと言うよりも痛いと表現した方が的確な風に乗ってくる。
「いつまでサボってるつもりだ。いい加減戻らないと明日出発出来ないぞ」
「シュウが迎えに来てくれるまで休み時間のつもりだったんだよ」
壁に背を預けて笑う。その横着な心向きにまた溜息を吐いた。サキの下に付いてから幾度繰り返したか知れない。
「溜息吐くと幸せが逃げるっていつも言ってるだろ?なんでそう繰り返すかなー」
「誰がさせてるんだ。悪たれ小僧が」
「シュウ、語彙が古いよ」
俯いて笑いを漏らすサキの頭を乱暴にぐしゃぐしゃと掻き混ぜる。サキの隣に並び、壁により掛かった。下を見下ろせば城下が見え、この寒空の下はしゃぎ回る幼子たちが見える。
「良い光景だな」
「そうだね。子供の笑い声が聞こえるのは良い事だ」
先ほどと同じ体勢に戻って居たサキを横目で見る。穏やかな表情を浮かべた彼を拝む事など滅多にない。口元を緩め、ポケットに手を手を入れる。煙草とマッチを取り出し流れる様な仕草で火を点けた。独特のにおいが鼻腔を擽る。壁にマッチの頭を押しつけて消すと、懐に仕舞ってある耐熱の袋に入れた。
「僕にも一本」
へらへらと笑いながら差し出される手を一瞥する。馬鹿な事を言うなと叩き落とした。パシンと乾いた音が鳴る。
「子供が馬鹿な事を言うんじゃない」
「年齢的にはもうとっくに大人だよ」
片頬を引き攣らせて笑う。姿形は国を統一した頃と何一つ変わりはしないのに、表情は仕草の変わり方はシュウに取って不快なものであった。いつかの自身を思い出す、自虐的な其れを忌々しげに睨み付け、時間稼ぎの為だけに煙草を口の端に挟んだ。煙を吐き出してその発言を敢えて無視しながら、サキから視線を外す。城下にいる子供に灰が落ちないよう、城側を向いて壁に背を向ける。
「人に迷惑掛ける事を分かっていながらバカ騒ぎするような人間は大人とは言わんよ。
それに、お前は不老であっても不死ではないだろう。真の紋章持ちが肺癌で死亡なんて、こぞって歴史家が面白可笑しく書き立てそうだから止めろ」
作品名:庭園と煙草 作家名:nkn