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願わくばもう一度・・・

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ミツバの寝室の前に一つ、小さく座っている影がある。最初、短かった影は今や長く伸びて日も暮れようとしていた。
「総ちゃん、そこにいるんでしょう。入ってきてくれないかしら?」
障子の向こう側からミツバが声をかけた。それでも動かない。
「けほっけほっ」
突然ミツバが咳き込んだ。すぐさま障子が勢いよく開かれた。静かな空間に大きな音が響く。部屋には光が遮られることなく大量に入ってきた。その光に照らされるミツバの顔は穏やかだ。それを見た総悟は怪訝な顔をする。
「ごめんなさいね、騙すようなことをしてしまって。でも、そうしないと総ちゃん入ってこないんですもの。」
笑いながら手招きをした。総悟は引っ張られるように近づき、ミツバが横になっている蒲団の脇に座った。
「ごめんなさい。」
小さい声で言うと、ミツバは首を振った。
「謝らなくていいのよ。だって総ちゃんが無事に帰ってきたんですもの。私はそれだけで十分。」
ミツバが体を起こそうとした。総悟は支えるように背中に手を添える。ありがとう、と言いながらミツバは総悟の右手をとった。そして袖口からいつも髪を結っているリボンを出し、総悟の手に軽く括り付ける。
「総ちゃん、私にとってあなたは大切な弟よ。それに自慢の弟でもあるの。だから私は総ちゃんの姉であることがとっても嬉しい。総ちゃんが生まれてきてくれて、総ちゃんが私の弟で本当に良かった。」
ミツバはやさしく総悟の頭を撫でる。気持ちよさに総悟は目を閉じていく。
「もう時間みたい。ごめんね、総ちゃん。本当はちゃんとお誕生日のお祝いをしてあげたかった。もっと、総ちゃんの大きくなる姿を見たかった。総ちゃんを一人残すのは辛かった。でもね、それでも、それ以上に幸せだった。やさしい子に育ってくれて、幸せだった・・・」