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ひとりで少年探偵団

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 だが、ドイツは、獣が身を守る姿に似ていると思っている。無邪気な顔を持ちながら、本性には野生を隠している。プロイセンは、猫のような人だ。
「兄さん」
 安心しきった寝顔は、起きている時に比べると物静かで、ドイツの心を堪らなく揺さぶる。自然とドイツは、口の中に溜まった唾液を飲み込んでいた。
「……兄さん」
 ベッドサイドに腰を下ろし、再度、名を呼ぶ。
 だが、プロイセンは何かむにゃむにゃと口を動かしただけで、目覚めようとしない。
「兄さん、もう朝だ。遅刻するぞ」
 頬を撫で、髪の生え際をまさぐっても、プロイセンは起きようとしない。眉間の横から無骨な指を滑り込ませ、耳の後ろにある尖った骨をくすぐりながら、ドイツは半開きの唇に見入っていた。
 かさついた薄めの唇が、ドイツには誘う色を乗せた、魅惑的な唇に映る。
「……っ」
 状況を考えれば、してはいけないことの区別はつくはずなのに、ドイツの耳には先ほどのスペインの言葉が蘇り、離れようとしない。
 普通の生徒は、皆既に寮を出ている時間だ。本来ならば、こんなにのんびりしている余裕は無く、叩き起こしでもしなければ、ドイツも遅刻してしまう。
 賑やかな朝の気配は徐々に遠ざかり、ぽつんと二人残されてしまったかのような静寂がここにはある。
 ドイツは、心の中に生まれたざわめきに、既に逆らえなくなっていた。
「兄さん」
 かさついた頬のてっぺんを親指で擦りながら顔を上向かせ、ドイツは起きようとしないプロイセンに口付けていた。乾いた唇が、余計に相手がプロイセンだということを意識させ、ドイツを追い詰める。
 半開きの唇の中に舌を捻じ込ませるのは容易く、ドイツはベッドに体重を押し付けながら、ねろりと口腔を荒らした。
「んっ……、ぁ」
 寝ぼけたまま、無意識に舌を遊び返してくるプロイセンだったが、自分の上げた甘い声に驚くなり、キスの最中だというのに目を見開く。
「っな、ヴェスト、な……」
「兄さんが起きないからだ」
 慌ててもがくプロイセンの抵抗を高揚する気持ちで抑え込み、ドイツは中断された口付けを、更に乱暴なものに変え、プロイセンへと与えた。
「あ、……ん、おま、え、……朝から、っ」
「こうでもしないと、起きないだろう、兄さんは」
「起きるって、昨日だって起きたじゃねえか」
作品名:ひとりで少年探偵団 作家名:エ ム