ひとりで少年探偵団
振り払う手を難無く捕らえ、ベッドへ押し付ける。暴れる態度が余計にドイツを焚きつけているのを、プロイセンはいつまで経っても理解しようとしない。わざとやっているのかと思ってしまうくらいに、プロイセンは上手くドイツを煽る。
「まじで、やべーって」
「そうだな、俺もだ」
キスで濡れた唇で、ドイツは荒く息を吐いた。一番上まできっちりと止めた制服の喉元が、興奮に苦しさを訴えている。
ジャージ姿の兄の上に圧し掛かっていると、プロイセンの呼吸の早さも知ることが出来る。同じように興奮していると知ると、ドイツは嬉しさに理性がひび割れていく音を聞いた。
駄目だとわかっていても、ドイツがプロイセンを求めてしまう気持ちは止められない。
言葉も無く、二人の鼓動が重なった胸を通して響く。
時折、ひくりとプロイセンが震える度、直接興奮を感じ取れる場所に手を伸ばしてしまいたい衝動にドイツは駆られたが、最後の理性がそれを阻む。
自分はここへ、プロイセンを起こしに来たはずなのに、何故こんなことをしているのか。駄目だと必死に抵抗しても、あたたかい体温に、鼓動が揺れる。ぎりぎりの場所で踏みとどまりながら、後少し何か力が加われば、止まれない自分を感じた。
「……兄さん」
「遅刻、する」
プロイセンがか細く喘いだ。
その声にも、ドイツは欲情を募らせる。
「いつものことだ」
「お前が、だ。ヴェスト」
プロイセンに触れたくて堪らない。もう一度、唇に触れたい。
ドイツは伸ばしかけた手を強く握り締め、ベッドに押し付け体を浅く起こした。
まだ目の前には、怯えたような動揺を隠しきれていないプロイセンが居る。
「ヴェスト……?」
「すまない。軽率、だった」
「っ、び、びっくりするだろ、朝から、夢かと、思うじゃねえか」
「ゆめ?」
離れがたいという欲望に必死に抗いながら、ドイツは体を起こした。気持ちは収まらなかったが、常識的な思考を持つドイツは、逆に理性の強さに負ける。
しかし、あと少し欲が勝っていたら、きっと後戻りは出来なかっただろう。
体を離すと、急に自分の行動が恥ずかしくなり、ドイツは真っ赤になった顔を背けた。気持ちも体も、感情と理性と欲望が混ざりきり、息苦しい。
「ヴェスト」
「ああ、その、すまん」