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ひとりで少年探偵団

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「いや、俺も、そのなんだ、別に嫌とかじゃねえよ。でもよ、朝からってのは、その、色々まずいだろ、多分」
 顔を逸らしていたドイツは、可愛い言い草に、奥歯に力を込めながら、プロイセンを振り返った。ベッドの上に胡坐をかいて座るプロイセンの髪はところどころ寝癖で跳ねている。
 俯いているので、表情を見ることは出来ない。
 声を掛けることが出来ず、妙に甘ったるい空間の中で、互いに沈黙を破れないままでいると、先にプロイセンが口を開いた。
「あのよ」
「……なんだ」
「遅刻、するぞ」
「わかっている」
「お前が遅刻なんてやばいだろ。俺じゃないんだからさ」
 ドイツも、早くプロイセンを着替えさせ、校舎まで送り届けなければならないことを理解している。だが、どうしても体が動かない。
「ヴェスト?」
「すまん」
 ドイツは、膝の上で拳を強く握り締めた。
「なんで謝るんだよ、あーもう、とにかく、学校行くぞ。俺の寝坊にお前まで巻き込むわけにいかねえからな」
 朝からおかしくなった空気をプロイセンは明るい声で払拭し、再び俯いたドイツの頬を、優しく拳で小突いた。
「しょげんなよ。俺は逃げやしねーって」
「違うんだ、兄さん。俺は自分の我慢の出来なさに、愕然としている。こんなにも理性が脆かったのかと」
「そんな真面目に考えることかよ!」
 ドイツの悩みも、プロイセンは軽やかに笑い飛ばす。
「しかしな」
「好きな奴が目の前に居たら、誰だってそうなるだろ。それだけのことじゃねえか」
 好き、という言葉に、ドイツの心臓は大きく跳ねた。
 愛を確かめ、キスをいくつもし、体だって頻繁に重ねているにも関わらず、ドイツは小さな言葉に、過剰に反応してしまう。
 プロイセンはドイツが好意を持っていることをきちんと認めた上で、自分も同じだと、言ってくれているようなものだ。
 そんなドイツの悶々とした気持ちなど気付かず、プロイセンはのたのたと着替え始めてしまう。
 裸など見慣れているはずなのに、ドイツは息を殺して背をプロイセンに向けた。ぎりぎりで押さえ込んだものが、再び蠢いている。
「なんだよ、別に見たっていいんだぜ?」
「……今、何をされたのか、兄さんはわかっていないのか?」
「んあ? ああ、あー……そっか」
 本当にわかっているのか、怪しいものだ。
作品名:ひとりで少年探偵団 作家名:エ ム