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Blessing you(英米/R15)

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「・・・フランス?」
「おー久しぶりだね。アメリカ」
ログハウスから少し離れた位置の木に凭れかかっていたフランスを見て
アメリカは不思議そうに声を上げた。
驚いたのか何度も瞬きしながらフランスを凝視するアメリカにそっとイギリスは囁く。
「なあアメリカ。フランスの隣にいる奴、誰だかわかるか?」
「んーと・・・誰?」
こてんとアメリカは首を倒す。
その仕草にたまらずカナダは叫んだ。
「カナダだよ!」
「え、カナダ!?」
イギリス、下ろして!
興奮した様子のアメリカに転ぶんじゃねぇぞと声をかけて下に降ろす。
足が地面に着くと同時にアメリカは走り出し、カナダの足に思い切り抱きついた。
いくらアメリカが小さいとはいえあのアメリカだからその衝撃はかなりのもので
カナダが後ろに吹っ飛びそうになるのをフランスが慌てて支える。
元凶のアメリカは倒れそうになったカナダを見て、不思議そうに眼を瞬かせた。
「カナダ、大きくなったの?」
「・・・そうだね、キミよりはだいぶ大きくなったよ」
ため息と共にカナダは答えた。
予想していたとはいえ、実際に誰?と聞かれてしまったのだ堪えたのだろう。
フランスがよしよしと慰めついでにカナダを撫ででいるのをイギリスは発見し
後でアメリカの見ていないところでクソ髭シメてやると決意を固めた。
「ずるいずるい。俺もカナダみたいに大きくなりたい!」
カナダをズボンを引き下ろしそうな勢いで引っ張りながらアメリカは駄々をこねる。
アメリカ止めて、ズボン脱げちゃうと叫ぶカナダを救うためにも
後ろから近づいたイギリスはおいでアメリカと声をかけた。
むーと不満げに頬を膨らませたアメリカを抱き上げ、イギリスは何故大きく
なりたいのか尋ねた。
「カナダみたいに大きくなったらイギリスを守るんだ!」
いつもイギリスに守ってもらっているから、今度は俺が守るんだよ。
満面の笑顔で言い放つアメリカから思わずイギリスは顔を逸らした。
あまりにも純粋で真っ直ぐなアメリカの気持ちが怖かった。
あと、数十年もすればアメリカはイギリスのことをわずわらしく思うようになり
ヨークタウンのあの日の宣言を行うまでに嫌うようになるのだ。
今のアメリカは疑うことなくイギリスのことを好きだろうけど
あの日、あのときだけは世界で一番イギリスのことを嫌っていた。
それは間違いない。
幼いアメリカの前では収まっていた吐き気が込み上げてくる。
柔らかな森の香りに混じって、錆臭い香りと雨の匂いが鼻を突く。
ああ、駄目だ。このままでは―――――
「いぎりちゅ?」
二人きりの時にしか使わない甘えた言い方でアメリカが名を呼んだ。
途端に不快感は薄れ、現実が戻ってくる。
心配そうに見上げるアメリカに笑いかけてイギリスはさらさらの金糸に顔を埋めた。
甘いミルクの匂い。太陽の匂い。
今のアメリカとあまり変わらない匂いがイギリスの心を落ち着けていく。
まるでトランキライザーだなとイギリスは自嘲した。
狂わせるのがアメリカなら狂った心を癒すのもアメリカ。
彼の前ではプライドなど意味を成さず、一挙一動にイギリスの心はかき混ぜられる。
それを知ってか知らずか、アメリカは気ままに振る舞う。
けれどイギリスはアメリカを縛り付けることなどできない。
縛り付けたら彼は自由になりたがる。そしてまた雨が―――――
「あのさあ坊ちゃん。アメリカ抱きしめてうっとりしているのはいいんだけど
 そろそろ日本のところに戻らない?」
「うっとりしてねえよ!!・・・つうか、このアメリカをあそこに
 連れて行って平気なのか?」
「んん?どういう意味?」
「あそこは今のアメリカには刺激が強いんじゃねえかと思って」
「あ、なるほどね」
「だからアメリカはニューヨークの別邸に連れていくつもりだ」
「ニューヨークもまずいんじゃない?」
「いや、ニューヨークでも普段使っている方じゃなくてもっとカナダよりの地域に
 あまり人のいない別邸があるんだよ。そこなら大丈夫じゃねぇかと思う」
イギリスの言葉にフランスは頷いた。
ホワイトハウスのある首都ワシントンは非常に人が多く、また活気もある。
普段のアメリカにはなんてことないのだが、まだ国として未熟なアメリカにとって
大きすぎる人の気が毒になるのではないかとイギリスは危惧したのだ。
作品名:Blessing you(英米/R15) 作家名:ぽんたろう