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Blessing you(英米/R15)

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Blessing you 04


リビングに戻り、大量に焼いてあったホットケーキを食べたアメリカは眠気を訴え
いつもアメリカが寝っ転がっていたソファーで昼寝を始めた。
眠りに着くまで傍に膝着き頭を撫でていたイギリスは完全に寝入ったのを
確認し立ち上がる。
既にほかの三人はダイニングの席に着いており、イギリスは空いていた
日本の隣に腰かけた。
「それで坊ちゃん。ピクシーからアメリカの姿を元に戻す方法は聞いたのか?」
「ああ。聞いた」
「どんな方法なのでしょうか?」
控えめな日本の問いかけだったが、イギリスは答えに窮するように口を引き結んだ。
イギリスはまだその言葉を言えない。
答えを言えずに押し黙っているイギリスに代わって口を開いたのはフランスだった。
「お前さ、アメリカに『おめでとう』って言おうとしたよな?
 元に戻す方法ってそれなんだろ」
「―――――っ」
「今まで言おうともしなかった言葉を言おうとしたんだ。
 それがキーだとお兄さんは思った」
畳みかけられてイギリスはぎゅっと口唇を噛みしめる。
フランスの言葉は正解だ。
イギリスがアメリカに心からの祝福の言葉『おめでとう』と告げればア
メリカは元に戻る。
そしてイギリスは告げようとした。
心からの祝いの言葉を。
しかし、言葉は音にすらならず、落ち着いていた体調が荒れただけだった。
そのときにイギリスは悟ってしまった。
自分がまだアメリカを許すことができないのだと。
その状態で仮に『おめでとう』を口にしても魔法は解けるのだろうか。
心からの祝福といえるのだろうか。
答えがまだ分からない。
それでもアメリカのことを心配して集まってくれている三人にごまかしなど
できるはずもなく、イギリスは耳を欹てなければ聞こえないほど小さな声で
フランスの言葉を肯定した。
「4日が終わるまでに心から祝福を授ければ―――――おめでとうと言えば
 魔法は解けるとピクシーは言っていた」
「心からの祝福・・・」
複雑そうな面持ちでカナダが呟く。
その表情にイギリスは胸がずきんと音を立てて痛んだ。
本来はこのように悩むことではないのだ。
心から祝福。
それは恋人なら、いや恋人で無かったとしてもアメリカを心から愛しているイギリスなら
簡単に告げられるはずだった。
好きだとも愛しているとも告げられるのに、たった一言、おめでとうが言えない。
「イギリスさん」
「日本」
「まだ時間はあります。それにイギリスさんが落ち込んでいると
 アメリカさんびっくりしてしまいますよ」
日本らしい気遣いの言葉にイギリスは心がじんわりと暖かくなる。
その言葉に甘えてはいけないとわかっているけども、追いつめられていた心が
日本のような言葉を欲していたのも事実だった。
「なんならお兄さんが手とり足とり教えてあげようか?上手いよ、俺は」
「断る。誰がテメェに教わるか」
「可愛くないなー。ま、俺もお前に教えるのはごめんだけどね」
「だったら教えるとか言うんじゃねぇよ!!」
「イギリスさん、大きな声を出したらアメリカが起きてしまいます」
思い切りテーブルを叩いて声を荒げたイギリスはその一言に凍りつき
おそるおそるアメリカの様子を窺う。
これだけ大声を出したというのにアメリカは起きる気配も無く
健やかな寝息を立てていた。
その様子にほっと安堵し、ニヤニヤと笑っている元凶のフランスを射殺しそうな目で
睨んでから、はあ、と一つ溜息をつく。
フランスが何故あのような物言いをしたのかわかるから余計に苛立つ。
昔ならこんなことはしなかった。
やはり奴の性格も少しは丸くなったということなのだろうか。
(それなのに、俺は変われない。アメリカを愛していると言いながら俺は)
あの雨の日から何一つ変わっていないんだとイギリスは小さく呟いた。
作品名:Blessing you(英米/R15) 作家名:ぽんたろう