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Blessing you(英米/R15)

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「アメリカと二人きりで過ごしたい」
フランス作の夕食を皆で食し、アメリカがカナダと共に風呂に入っている午後9時。
いつになく真剣な面持ちのイギリスが残った二人に請うた。
日本とフランスは顔を合わせ、先に口を開いたのはフランスだ。
「あのさあ、昼間のこと忘れていないよね?」
「もちろん」
しっかりとイギリスは頷く。
あの後、アメリカの泣き声を聞いて駆けつけたカナダと日本に二人掛かりで
みっちりお説教されたのだ。
忘れるはずもない。
「では何か考えでもあるのですか?」
次に口を開いた日本の声には警戒心が強く滲み出ている。
またアメリカをあんなふうに泣かせるようなアイデアならば却下するつもりなのだろう。
自分が日本の立場なら話も聞かないだろうから、日本は偉いなと心の片隅で思った。
「いや、ちょっと確かめたいことがあって」
「確かめたいことって何よ。アメリカの身体隅々まで調べたいとか言うんじゃねぇだろうな」
ニヤニヤしながら告げられた揶揄にイギリスは眉を顰めた。
何バカなことをといった表情で細くため息をつく。
そして口を開いた。
「馬鹿、んなことはもう知っている」
「知ってるのかよ・・・」
げんなりとした表情でフランスは呟く。
藪をつついて蛇を出したというところですかねと日本は二人のやり取りを
聞いてそう思った。
「それともしも魔法が解けなかったら、強制的に解く羽目になる」
「そんなことできるのですか?」
「・・・・・・贄があれば、問題無い。それよりもあいつらは見えない人間の
 気配を嫌がるから、できれば、俺とアメリカの二人きりが望ましいんだ」
もっともらしい理由を挙げたが、本当の理由は少し違う。
日本たちが贄に選ばれないために傍に寄らせないのである。
普通は行使者であるイギリスが贄となるのだが、その場に他の人間が存在し
なおかつ妖精たちがそちらの人間の方がよいと判断した場合、贄の対象は行使者から
指名された人間に移される。
多少の魔法ならば贄となっても、ほんの少し生気を奪われるだけで済むのだが
今回の場合は力のあるピクシーの魔法を解く贄のため、何を請求されるかわからない。
故にイギリスは少しでもリスクを下げるために二人きりになることを望んだのだ。
「贄と言いましたが、それは命に関わることではないですよね」
「ああ。せいぜい生気を少し吸われるだけだろう。命の危険性はない」
「・・・わかりました。私はイギリスさんの意見に従います」
目を伏せて、穏やかな声で日本は宣言した。
納得がいかないのは日本にしては珍しく表情から読み取れる。
だが、それでも日本はイギリスに任せると言ってくれた。
その心を裏切れないとイギリスは心に刻む。
「ま、俺はうまくいけばいいよ。その代わり、ヘマするんじゃないよ」
「誰に言ってやがる。俺がヘマするわけないだろ」
「どうだか。・・・で、カナダはどうする?」
フランスが呼びかけたことでようやくカナダが戻ってきていることに
ようやく気づいたイギリスは勢いよく振り返った。
ほかほかと蒸気を立ち上らせた二人がリビングの入口に立ちつくしている。
どこから話を聞かれていたのだろうかと身を強張せるイギリスに
アメリカが勢いよく駆け寄り抱きついた。
あわや大転倒という悲劇を兄としてのプライドで乗り切ったイギリスは
しがみつくアメリカの頭を一撫でする。
そして視線をカナダに向けた。
「・・・イギリスさんがそんなふうに決意を固めていたら僕は何も言えませんよ」
決して短くは無い沈黙の後、絞り出すようにカナダは呟く。
ああ、怒っているなとイギリスは感じ取った。
昼間にアメリカを泣かせたということも一因であるが、カナダを怒らせたのは
強制的に解くには贄が必要だと言った部分だろう
カナダはもしものときにイギリスが犠牲になろうとしていることを悟っている。
日本やフランスをごまかしたようにカナダはごまかせない。
それでもカナダは決意を固めているなら仕方ないとイギリスの狡さを見逃してくれたのだ。
「わるい。・・・ありがとう」
「礼はアメリカさんが元に戻ってから聞きます。朝まで邪魔はしないので
 ごゆっくりお過ごしください」
「変なことするなよ」
「無理をしないでくださいね」
三者三様の言葉にイギリスは頷き、足にしがみついているアメリカを抱き上げた。
風呂上りたてのアメリカは良い匂いがする。
口元を綻ばせて、しっかり掴まるようにアメリカに指示し、マスタールームに向かった。
作品名:Blessing you(英米/R15) 作家名:ぽんたろう