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Blessing you(英米/R15)

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アメリカに着いたイギリスを待ち構えていたのはフランスだった。
緊急事態かつ己の調子がここまで悪くなければ、拳の一発でも叩きこんでいたが
思いのほかフランスが真面目な面持ちで待ち構えていたので拳を振るう機会を
逃してしまった。
代わりに舌打ちを一つ零す。
そんなイギリスの様子を上から下まで眺めたフランスは心配げに口を開いた。
「坊ちゃん、大丈夫なのか?」
「んなことより、何があったんだよ。つうか、なんでテメェがここにいるんだ」
ドスのきいた低い声に返事をせずにフランスは肩を竦める。
答えないつもりか。イイ度胸だな。
うっすらと笑みを口端に刻んだイギリスはフランスの胸倉を掴んだ。
どうせ深夜の空港、しかも特別フロアに一般人などいない。居るのは何もかもを
心得た職員のみだ。
少しばかりフランスを締め上げたとしても差し支えは無い。
やめて、やめて。お兄さん死んじゃう!と心地よい悲鳴を上げてもがいているフランスを
満足げに締め上げていたイギリスだったが、不意に訪れためまいに思わず手を
離してしまった。
たたらを踏むが倒れこむほどではない。
すぐに復活したフランスが宥めるようにイギリスの背中を撫でるのが忌々しいが心地よい。
「とりあえず説明は車の中でね」
反論する余地はなく、イギリスは頷いた。
実を言うと立っているのも辛いほど体調は悪い。
真っ直ぐに歩くこともままならないイギリスにたまりかねてフランスは手を差し出す。
普段ならぜったいに借りることのないフランスの手をしぶしぶ借りてイギリスは空港を出て
すぐに待たせてある出迎えの車に乗り込んだ。
「イギリスは何て聞いたんだ?」
「・・・アメリカの居場所がわからないと。連絡もつかない。俺のところに
 連絡はなかったかと聞かれた」
柔らかい背もたれに完全に身を預けたイギリスは前を向いたまま
フランスの問いに答える。
フランスを視界にいれたくないというのが主な理由だが、じつのところ、話をするためだけに
顔を向けるのもひどく辛い。
アメリカ大陸が近付くにつれ、悪化の一途をたどっていた体調は
今、最悪のピークを迎えている。
数年前に一度だけアメリカの誕生日祝いのパーティーに顔を出したことがあったが
あのときも相当具合が悪いのを押して顔を出しに行ったのだ。
そのときよりも格段に悪化してイギリスを押しつぶさんばかりに吐き気やら胃の痛みなどが
襲いかかってくる。
血の気が一切ないどうして倒れないのか不思議なくらい険しい顔のイギリスを
フランスは横目で見ながら、あのな、と切り出した。
「昨日、カナダの家で俺とカナダとアメリカの三人で誕生日パーティーをしたんだよ。
 毎年恒例のあれ。そういえば、カナダ、お前からのプレゼントとカードに感激してたよ。
 それであいつはその夜に泊まって、次の日の昼に帰ったわけ。
 まだ遊び足りないんだぞーとか言ってたけど、この時期はそういうわけにも
 いかないからね。昼過ぎにはしぶしぶ帰った。そのはずだった」
「・・・カナダ、喜んでいたのか」
「大喜びしてたよ。お兄さん、思わず嫉妬するくらい」
「そうか。なら早く続き話せクソ髭」
「話の腰折ったのそっちでしょ。・・・まあ、いいけど。お兄さんの寛大な心に
 感謝するんだな。いたた!お願いだからねじ切りそうなほどの力で抓まないで!」
「テメェがくだらないことばっか言ってるからだろうが」
作品名:Blessing you(英米/R15) 作家名:ぽんたろう