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Can I.....?

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 消毒液はそれなりにはしみるけれども、永遠の21歳の身としてはそう痛いものでもなく、むしろ波江に手当をしてもらうほうが色々面倒だから新羅にしてもらうわけだけれども、それでもやっぱり中学、高校の同級生というのは厄介だ。どこが厄介って、あの頃は俺もまだそれなりだったわけで、その頃から一緒に成長しているわけだから、俺の扱いも一応は心得ている。それだけでも厄介だというのに、岸谷新羅という人物は今のところ俺の駒にも何にもなりえない立場だというのに、闇医者というある意味ものすごく手の出しづらい職業で、情報屋というそこそこの職業を名乗っているからには世話にならないわけにはいかない間柄なのだ。
 まぁ、新羅の場合は物事の判断基準が呆れるくらい分かり切っているから、扱いを間違えなければなんともないんだけど。
 それに比べて、あの化け物ときたら俺の理屈も論理も何も通用しない。ただ、圧倒的な暴力がそこにあるだけ。あの金髪も、サングラスの奥の瞳も、弟から貰ったというバーテン服に包まれた肢体も、すべて周囲を圧倒し制圧するような、力そのものでしかない。こと、論理以外の、喧嘩に代表されるような出来事に関してはそれこそ、本能や天賦の才としか言えないレベルのことを易々とやってのける。その事自体はものすごく興味を引くのだけれども、その本能や天賦の才もまさに化け物と言えるレベルでしかなく、人間とはまさに異質どころか人間から生まれたのかも疑いたくなる。
 だから、シズちゃんは嫌いなんだ。
 シズちゃんは化け物だから、俺の理屈も論理も通用しない化け物だから、だから嫌いなんだ。大嫌いだ。
 俺がそうこう思考に浮き沈みしている間にも、新羅の診察は着々と進んで、手際よく棚からまた薬を出して、打ち身に塗っていく。医薬品や病気とかに関して、全く知識がないわけじゃないけど、やっぱりこういうことは医者には敵わないから、治療中に関して俺は新羅に意見をしたことはない。まぁ、ある意味全面的な信頼といえなくもないんだろうけど、かといって新羅に背中を預けることができるかというと、そういう意味では全くない。断じてない。
 新羅だって他人だし、情報という信用を売っている俺が言うのもなんだけど、こっち側にいるには背中を預ける他人なんてそうやすやすと作るものじゃない。
「さて。一応、打撲の薬も塗っては置いたよ。これで大丈夫だと思うけど。」
「何よりの治療はまた同じことをしないこと。でしょ?」
「言われることを分かっているのに、なんでこう何度も同じような傷で僕のところに来るのか、本当、理解に苦しむよ。」
「それは、ぜひシズちゃんに言ってやってよ。シズちゃんがさっさと死んでくれれば俺だってこんな傷つくらないで平和に情報屋やっていけるんだからさ。」
「平和に情報屋っていう時点でおかしいとは思うけど、闇医者の私が言うことでもないか。」
「そりゃあ、世間の職業で一番胡散臭いのって闇医者でしょ。何が胡散臭いって、まず世間一般の人は闇医者って本当にいるとは思ってないしあくまで漫画の中の職業くらいにしか思っていないんじゃない?」
「それを言うなら、情報屋だって一緒でしょ。情報が金になることはあっても、それを生業にしている人がどれだけいるとかは世間一般で暮らしている人たちは知らないわけだしね。」
「まぁ、それを言うと新羅も俺の愛して愛して止まない人類とはちょっと違うカテゴリーにいるような気はするんだよねぇ。」
「君は、最初から私に対する人類愛なんかなかったでしょ。」
 新羅はさらっとなんでもないように言う。実際、新羅にとってはなんでもないことなのだろう。普通の人なら、自分が人じゃないと言われたら多少は傷つくんだろうけど。新羅の場合、もしかしたらむしろ喜ぶかもしれない。デュラハンの彼女のことを考えると。
 そして、それを口にすると案の定、如何にも楽しそうで嬉しそうな笑顔を浮かべ、それって普通の人は嫌がると思う、というと普通の人なんかどうでもいい、とあっさりと返されてしまった後に、如何に自分がデュラハンである彼女を愛しているか、自分が人間のままでも構わないが、やはり同じような存在であればもっと楽しめることもあるのではないか、と延々と自分が人間であるときとデュラハンのような存在であったときのメリットデメリットを話してあと、結論としてどっちでもいい、と言ってのけた。

作品名:Can I.....? 作家名:深山柊羽